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フェア-な木材を使おう
3.動き出した政府の木材グリーン調達 〜業界はどう対応しているのか〜
フェアウッド・キャンペーン事務局
2006年4月1日、日本政府がグリーン購入法の木材物品調達基準を改定し、「合法性の確認された木材しか買いません」と宣言したことで、関連業界に激震が走った。いち早く森林認証取得に着手するケース、業界団体による団体認定を受けるケース、取扱製品が対象外、または政府調達にかかる取引がないため静観するケース、情報不足により混乱しているケースなど対応は様々だが、いずれにしても大変な関心事になっていることは業界紙の紙面から読み取れる。施行前後の動きを追ってみた。

まず、改正グリーン購入法について整理しておく。これはグリーン購入法そのものが改正になったのではなく、同法に基づき、政府の調達物品それぞれに選択基準や配慮事項があり、今回は木質原料を使用している物品の一部の選択基準や配慮事項が改正されたものだ。具体的には「合法性」が基準として、「持続可能性」が配慮事項として、満たすべき要項に加えられた。

林野庁が作成したガイドラインに記された証明方法は、1)森林認証制度、2)関係団体の認定による自己証明、3)独自取組みによる自己証明の3つ。合法性の基準については、具体的記述はなく、生産国の現行法に遵守することが原則となっている。また持続可能性についても原則、基準、手法といった具体的な明言はない。

改正グリーン購入法の施行とガイドラインについて閣議決定したのは2月9日。その後の関係業界紙・メディアに掲載された業界の対応に関する記事を表にまとめた。限られた情報源ではあるが、ここから、業界の動きの傾向について考察してみる。

表 業界団体の動きについて(業界紙等による)
掲載日 団体名 委員会
設置
行動
規範
制定
実施
要領
認定
費用
方法など
3/21 日本合板工業組合連合会 無料 合法性証明書添付の原木を用いた製品に証明書を発行。国産材については、全森連や素生協と協議
3/25 日本合板商業組合
1万円
(一社一枚)

3/30 木材表示推進協議会
既存制度に加え、合法性も証明できる要件を追加
3/31
日本木材輸入協会 無料 会員にのみ認定証発行。合法性については会員自身が証明をする
4/4
(社)全国木材組合連合会
県木連レベルで策定
県レベルで判断
4/5
日本プリント・カラー合板工業組合



4/5
日本製紙連合会



4/7
全国天然木化粧合単板工業協同組合連合会 1万円
4/11
熊本県木材認証センター



一定の審査を踏まえ適正な木材に対し同センターが証明書を発行
4/14
極東木材輸出協会
(ダリエクスポートレス)




森林認証取得に努め、2010年までに全ての木材の合法性証明を目指す。日本木材輸入協会はCoC認証取得に努める
4/18
日本フローリング工業会生産部会

フローリングは品目指定外だが、社会的情勢を勘案し取組み決定
4/20
国有林



素材などの売買契約書に合法材という明記を新たに盛り込む
4/22 全国素材生産業協同組合連合会



取組みを発表
 出所:日刊木材新聞、林政ニュース、J-FICニュース(2006年3月〜4月の記事から)
  注:空欄は、記事において、それに関する記述がなかったことを意味し、それ自体の有無を示すものではない。

対応法で最も多いのは、上記2)の団体認定による自己証明で、各業界とも3〜4月で一斉に動きだしている。当然輸入材を扱う業界の動きは早く、日本合板工業組合連合会(日合連)、日本合板商業組合(日合商)、全国木材組合連合会(全木連)などが先陣を切って制度化し、すでに日合商では79社が認定を取得している(5月24日日刊木材新聞)。

団体認定制度の導入手順、およびその内容については、各団体とも大きな相違は見られず、政府から提案された雛形に沿っているものと思われる。具体的には、団体の違法伐採に対する行動規範の制定、団体内に認定委員会の設置、認定にかかる実施要領の作成、そして実際に団体会員の認定作業実施という流れになる。

認定の審査基準についても、基本的には合法性証明材と非証明材との分別管理が入出荷、加工、保管の各段階において徹底されるよう、その能力、場所の確保、書類管理状況、取組み責任者の有無などから判定する、といったケースが多い。

肝心の「合法性証明」については、団体が証明するのではなく、各企業が責任を持って証明することとなっている。また、認定費用については団体によってまちまちだ。

対応法1)の森林認証取得については、数は少ないが、総合商社や建材商社・問屋などに見られる。例を挙げると、江間忠合板(株)が欧州材でPEFCを、(株)ジューテックはチリ産の植林木でFSC(森林管理協議会)、PEFCの両方を取得、トーヨーマテリア(株)は、FSC認証取得で認証合板取扱いを実現、双日(株)は、ソロモン諸島のFSC認証植林木を、またすでに住友商事(株)は、提携先のロシア極東・テルネイレス社がロシア・サマルガ流域でFSC森林認証取得している。国内山林では、住友林業(株)が国内全所有林でSGEC(『緑の循環』認証会議)認証取得を計画している。各認証制度の普及・促進を行う団体への問い合わせもやや増加しているようで、関心が高まっていることは確かなようだ。

対応法3)については、主に製紙企業や複写機メーカーなど、政府に先んじてすでに取組みをはじめていた製紙および紙取扱い企業を想定して設けられたものと考えられる。例えば、王子製紙(株)は2005年4月に「木材原料の調達方針」を、日本製紙(株)は2005年10月に「原材料調達の理念と基本方針」を公表している。複写機メーカーはさらに早く、キヤノンでは「PPC用紙の購入基準」を2004年10月に、富士ゼロックスは「環境・健康・安全に配慮した用紙調達規程」を2004年12月に制定している。

木材業界においては、国有林の取組みがこれに当るであろう。国有林では、当フェアウッド・キャンペーンとの連携により、「フェアウッド」要件を満たす材を目指すべく取組んでいる。

団体認定により違法伐採対策はどうなったのか?
今回の動きを概観してみると、政府調達方針の上意下達については、ほぼ達成された感がある。合法性証明の手法についても、業界関係者によれば、「団体認定取得に際し、現地の伐採現場まで出向いて、合法性が担保できるのかどうか、確認した」企業もあり、お題目で終わらない実の伴ったCSR活動への意識付けのきっかけもなっているようだ。

一方、現状の取組みからの実質的な改善になったのかどうか疑問が残る。明確な日本政府としての包括的な合法性の定義がないため、合法性証明は、既存の書類を別途揃えることで証明していることに変わりはない。国際社会において最も重要とされる水際、および生産国内における書類偽造や伐採地における違法行為についてのチェック機能が働くことになるとは思われない。また、国産材を取扱う団体の動きが、あまり活発でなく、国内木材生産における合法性&持続可能性の証明方法についての透明性が懸念される。

また「合法性」および「持続可能性」の証明が可能な認証制度を普及・促進する立場の団体からは、「合法性証明」のみに特化した団体認定の動きは、一時的とは言え逆風になっているという声も挙がっている。これまでCSRの一環として真剣に認証取得を考えてきたものの、政府のガイドラインでは当面は「合法性証明」のみでよし、なるガイドラインが出たため、あえて高コストの認証取得計画を中止し、団体認定で済ませるケースもあったからだ。

政府のガイドラインには、その内容について広範な利害関係者の参加による協議会を設け適切に見直していくことが明記されている。この協議会には是非1)日本国としての合法性、および持続可能性についての定義確立、2)第三者による政府の取組みに対するモニタリング体制の確立を期待したい。その議論を通して、政府のリーダーシップにより、一層違法伐採対策が進展するような業界団体のさらなる取組みを期待する。
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