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フェア-な木材を使おう
4. 日本の家は日本の木で! 〜住宅メーカーの取り組み 住友林業(株)編
フェアウッド・キャンペーン事務局
「Feel Wood. 〜木の家と、暮らそう。」のキャッチコピーで「木への強いこだわり」を前面に打ち出している住友林業(株)。同社環境報告書によると、「スーパー・サイプレス」と「きづれパネル」(注1)を商品化したことで同社の構造材における平均国産材利用率は7%から40%代まで向上した。

一般的に品質、コスト、流通・納期の面で国産材は外材にリードを奪われ、大手住宅メーカーでは着手しにくいと耳にする昨今。その不利をいかにして克服し国産材利用率を高めたのか、同社住宅本部生産資材部長の波多健二氏に聞いた。

注1
スーパー・サイプレス:業界初の国産ヒノキを使用した集成材を商品化したもの。 住友林業の主力商品である「GODA One's Story」における構造用集成材として各住宅部材に採用。

きづれパネル(図6):国産スギ材などを主原料とする耐力外壁材。幅55mm×厚さ9mmの板を組み合わせて接着して作る。 製品は910mm×3000mm、重さ10kg(合板など通常のボード類であると20〜30kgになるため軽量)。釘を一切使用せず接着剤で貼り付け。 モルタルの下地、サイディングの下地としての使用が全体の80%。

クレーム対応のための集成材の導入?!
住友林業は住宅事業をはじめて30年。歴史を紐解けば同社の事始めは元禄4年(1691年)。歴史ある林業のプロということもあり、同社の顧客は比較的木へのこだわりが強い方が多い。 そうした顧客からのムク材への要望は、特に東海・近畿地域で根強いようで、現在でもヒノキのムク材(人工乾燥)で年間500〜600棟を手掛けている。

2002年に主力商品に標準採用された「スーパー・サイプレス」。この導入に至る道のりは決して容易なものではなかったと、波多さんは当時を振り返った。

住宅事業を始めた1970年代、当初は乾燥未指定のグリーン材を使用していた。部材別樹種は、柱は米ツガや国産ヒノキ、土台は国産ヒノキや米ツガ(防腐剤注入材)、そして梁は米マツであった。

グリーン材では乾燥過程における反り、曲がり、割れなど木材特有の変化への顧客からのクレームが絶えず、人工乾燥材への転換を図った。 ところが、人工乾燥材を生産できるところを探すものの、当時国内には乾燥設備がほとんど普及していなかったため、やむなく海外から乾燥材を輸入することになった。 折しも住宅着工数が右肩上がりで伸びていった頃である。

ただし人工乾燥材は安くない。そのコストに対処すべく「集成材導入」の声が挙がった。集成材は、国内でも和室など表面に付き板を張った柱(5層の貼り付け)として60年代から使用されていた。 当初、社内、特に営業サイドからの反対の声もあったが、展示場で集成材の柱や梁を見えるようにして顧客の反応は「強度がでるのであれば問題ない」というもので案ずるより産むが易しであった。

当初集成材に使用した樹種はロシアエゾマツ、米マツ、そしてカナダのロッジポールパイン。間もなく、柱に続き土台にも米ヒバの集成材が採用される。 勿論、住友林業は注文住宅を基本としていたため、木にこだわりのある顧客も多く、国産ヒノキのムク材も扱っていた。当時、社全体の約10%程度にあたる年間1,000棟くらいの需要があった。

国産材に対するトラウマ
ただ、波多さんには苦い経験もあった。集成材導入の一年前の1990年、「ヒノキの家」を売り込むキャンペーンを行った。ヒノキの柱と土台を期間中に限って破格の値段で提供した。 キャンペーンは予想を超える大盛況で、ヒノキ材の確保に東奔西走を強いられ、とにかく夢中で市中からヒノキを買い漁った。しかし住宅着工に伴う出荷ピーク時には、市場のヒノキ量が激減し、ヒノキの市価が暴騰してしまった。 1m3あたり平均10,000円だったものが高値で200,000円にまでになったという。

この経験が国産材に対するトラウマとなり、国産材を使いにくくなってしまった。しかし営業サイドからは国産ヒノキで集成材ができないかといった声がしばしば挙がっていた。 ムクであると15cm級の丸太を必要とするが、集成材であれば材直径の大小、長さ、曲がり、そして根元部分など、どんなものでも使える。そこで、その利点を活かし、国産ヒノキの集成材開発が始められた。

安定した仕入れルートの確立へ
最後に、一般的にQCD(品質・コスト・流通)の面で外材に比べ劣る国産材の高い使用比率を実現できた秘訣について問いに対して「自社で原木調達以下、製材、プレカット行程を賄うことができたからであろう」との回答。「国産材使用率を高めることは社是として取り組んでいるものの、 価格重視は不可避であり、現状ホワイトウッドに対抗できる価格を実現できるのはスギとカラマツである。ヒノキについては「品質の良さ」を付加価値としてアピールしている」と付け加えた。

事実、現状の商品ラインナップでは高グレード住宅にはヒノキ集成材が採用されているが、並グレード以下の住宅では米ヒバ、ホワイトウッドの集成材で適用されている。現在の国産材使用率は、構造材のみで約42%で、北海道の例ではカラマツ使用が約70%と高いところもあるとのこと。

仕入れルート構築においては素材業者、製材業者、山持ちなど、あらゆるソースを当った。 「”刺身のトロ”だけでなく、どんなものも使います」との語り口で、2mの短尺材などを集めたが、業者からは不思議がられる有様。当時、高級材であるヒノキの端材や曲がり材を調達することは、珍しいことだったようだ。

そうした苦労の甲斐あって、2002年2月に仕入れルートが確立された。使用部材は土台から始め、当時の使用量は月間1,000m3(一部米ヒバを含む)だった。 2003年2月からは柱にもヒノキ集成材を導入し、仕入れルートを拡大。現在、ヒノキ集成材の使用量は月間2,500m3程度、棟数では年間6,000棟である。

原料のヒノキ材は主に四国、九州、中国地方から調達する。2m材、端材、曲がり材など原木で集材し、提携の製材所において賃挽き、ラミナ製品化、 そして人工乾燥したものを、住友林業本社山林部の子会社である住林フォレストサービスがすべて買い取り、全国6箇所の集成材工場(注2)に送る。 現在、製材・集成材工場、プレカット工場、そして多くの工務店のネットワークを構築し、グループでの一元管理された材の調達、供給を実現している。

注2 岡山、愛媛、奈良2ヶ所、岐阜、そして秋田の計6工場。その半数は住林向け生産が中心とのこと。工場の生産規模は月間1,000〜1,500m3。

また過去の経験を生かし、国産ヒノキ材の仕入れ体制の調整にも余念がない。仕入れルートが確立した2002年より月1回、全国の関係者(住友林業住宅部門、集成材6工場、住友林業フォレストサービス)で、 材の供給・調達状況について情報交換し、調整を行っている。これは複数の調達ルートがあるものの、しばしば川上で同じ供給元にたどり着くケースがあるためである。

一方、住友林業は北海道、和歌山、四国、九州に40,497ha(人工林49%、天然林42%、その他9%で、国土の約1,000分の1にあたる)の社有林も有している。 しかし、ここから出材されるものは、各地元の原木問屋へ供給されるため、社有林を自社のみで使用することはしていないとのこと。この辺りに国内における木材調達の難しさの一端が垣間見られる。

勿論、ヒノキのみならず、スギも利用している。前述の「木づれパネル」だ。主材料のスギは主に宮崎、熊本から調達。製材時に出てくる側板やチップにされるような細丸太を使用。 全国8工場(注3)で月間60,000枚(1,600m3に相当)を生産している。一棟あたり80枚程度使用する。

注3 生産工場は宮崎、熊本、奈良、岐阜、埼玉2ヶ所、福島、そして山形の8工場

国産材調達の秘訣?!
冒頭でも触れたが、現在同社の平均国産材使用率は、構造材のみで約42%で、北海道のように地域を限定すればカラマツ使用が約70%と高いところもある。

国産材の使用比率を高められた秘訣について問うと「自社で原木調達以下、製材、プレカット工程を賄うことができたからであろう」との回答。つまり、流通コスト削減が大きな要因であったと解釈できる。

一方で「国産材使用率を高めることは社是として取り組んでいるものの、価格重視は不可避であり、現状ホワイトウッドに対抗できる価格を実現できるのはスギとカラマツである。 ヒノキについては『品質の良さ』を付加価値としてアピールしている」と、使用率のさらなる向上には難色を示した。

事実、同社の商品ラインナップで高グレード住宅にはヒノキ集成材が採用されているものの、並グレード以下の住宅では米ヒバ、ホワイトウッドの集成材が適用される。それだけ十分な国産材調達には困難が伴うということの現われでもあろう。

しかしながら、国内の木材自給率が20%以下である状況を考えれば、同社の構造材への平均国産材使用率約42%という数字は年間1万棟規模の大手住宅メーカーとしては高い数値と思われる。

いずれにしても、さらなる国産材利用促進を考えた時、大手住宅メーカーによる取り組みは、一般消費者への大きな影響力を持つため、今後も同社の積極的な取り組みに注目したい。

> 住友林業 http://www.sfc.co.jp/
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