フェアウッドマガジン
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第16号
www.fairwood.jp フェアな木材を使おう
フェアウッドマガジン 第16号 INDEX February 2006
1. 政府調達による違法伐採対策、いよいよ本格始動!
1月25日、政府・自民党はグリーン購入法を用いて国の公共調達から違法木材を排除するための施策について発表しました。フェアウッド・キャンペーンはその施策検討プロセスに参画し、これまでの提言内容を反映することに努めました。その詳細について紹介いたします。
(フェアウッド・キャンペーン事務局)
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2. グリーン購入ネットワークが印刷・情報用紙ガイドラインを改定
グリーン購入ネットワーク(GPN) は、2005年10月28日、印刷・情報用紙の改定ガイドラインを発表しました。 これまで紙原料に関する項目は古紙の利用のみだったガイドラインに、バージンパルプの環境配慮に関する項目が新たに加えられました。この改定のプロセス に参加された熱帯林行動ネットワーク事務局長代行の小浜崇宏さんにこの改定のポイントについて解説いただきます。(熱帯林行動ネットワーク(JATAN) 事務局長代行 小浜崇宏 氏)
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3. 「節」と「割れ」
〜木材品質に対する住宅購入者の誤解と国産材を高くしている隠れた要因!(後編)
木材の品質について考える際、避けて通れないのが乾燥技術。その乾燥の視点を加え、国産材が外材に比べ安くない要因について、前々号に引き続き、国際環境NGO FoE Japanの岡崎時春氏に考察していただきます。(国際環境NGO FoE Japan 代表理事 岡崎時春 氏)
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4. 森林認証材を使った住宅造りへの取組み 〜菊池建設(株)編 (後編)
木造軸組建築一筋に取り組む菊池建設(株)。前編では、木へのこだわりから、国産材へのこだわり、そして認証材と発展していった背景を紹介いただきました。今回は、取得した森林認証制度の利点などについて紹介いただきます。
(菊池建設株式会社 営業部営業推進課 平田心一氏)
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1.政府調達による違法伐採対策、いよいよ本格始動!
フェアウッド・キャンペーン事務局
フェアウッド・キャンペーンでは、これまで公共調達における紙・木材製品から違法伐採材を排除し、認証木材などを推奨していくべきであると、政、官、関係機関に働きかけてきました。

その成果とも言うべき施策がいよいよ4月1日から施行されます。1月25日、その「グリーン購入法を用いた国の公共調達による違法木材を排除するための施策」について政府・自民党から発表されました。

これは同党政務調査会部会の「世界規模の森林の違法・不法な伐採及び輸出入等から地球環境を守るための対策検討チーム」により取り纏められたもので、フェアウッド・キャンペーンも参画し2年に渡り議論を重ねてきたものです。

具体的には、グリーン購入法の特定調達品目における公共工事、紙類などがその該当分類となり、その判断基準に「合法な木材であること」が、また配慮事項に「持続可能な森林経営が営まれている森林から産出されたものであること」が記載されます。これらはガイドラインに準拠して確認することとなっています。

この政府の取り組みは、世界屈指の木材輸入国である日本の違法伐採問題に対する責任ある対応としてとても重要な第一歩で、高く評価できるものです。現在、関係省庁による事務手続き段階にあり、2月の閣議決定を経て施行される予定です。
世界に誇れる木材グリーン購入のために
しかしながら、「合法性/持続性」を確認するための根拠となるガイドラインにおける定義や確認方法が不十分で実効性に欠けるため、施行後、速やかな改善が必要です。この点、政府も取組状況の検証と見直しの必要性を認識し、森林・林業・木材産業関係団体、学識経験者、環境NGOなどで構成される協議会を設けることが決まっています。

フェアウッド・キャンペーンでは、今後改善が求められる主な問題点についてパブリックコメントとして以下の5点を提案しました。

1.合法性の定義が限定されていること
2.持続可能性の定義が定義になっていない
3.合法性の確認が不十分
4.本措置実施状況の独立したチェック体制を
5.調達サイドの取り組みが書かれていない

政府調達による違法伐採対の一方で、木材から他の資材へシフトしてしまうことの無いような配慮も必要です。化石燃料消費の削減や京都議定書目標の達成の観点から、金属やプラスチックなどに比べてバイオマス資源である木材の優位性は絶対的なものです。調達者はこの点も配慮をしながら環境・社会に配慮して生産された木材を積極的に採用するべきと考えます。

同時に、国内の木材業者が自ら進んで違法伐採対策に取り組むようなケースに対しては国としても積極的にサポートをしていただきたいと思います。
> 環境省グリーン購入法の見直し(案) http://www.env.go.jp/info/iken/h180131a/index.html
> 自民党のニュース発表 http://www.jimin.jp/jimin/daily/06_01/25/180125a.shtml
> FoE Japanプレスリリース http://www.foejapan.org/forest/doc/060125.html
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2.グリーン購入ネットワークが印刷・情報用紙ガイドラインを改定
熱帯林行動ネットワーク(JATAN) 事務局長代行 小浜崇宏 氏
改定ガイドラインの内容とポイント
紙生産において古紙を利用することは、廃棄物を削減するほか、資源の有効利用になる。しかし、古紙は再利用を重ねるに従って繊維が劣化するため再利用の回数には限界があることなどから、バージンパルプの利用をゼロにすることはできない。

一方、バージンパルプの原料は、適切に管理された森林からのものであれば持続可能であるが、多くは豊かな生態系を育む森林の破壊や天然林の皆伐などの問題があり、紙製品の購入においてもバージンパルプ原料に対する環境配慮が必要である。

今回改定されたガイドラインでは原料産出地(木材伐採地)の法律・規則を守って生産され、森林認証材や植林材、再・未利用材等からつくられたものを「環境に配慮したバージンパルプ」とした。古紙と環境に配慮したバージンパルプの関係については、それぞれのメリットがあり、優劣をつけられないことから並べて記載することとし、両者の利用率の合計値が高い紙製品を優先して購入することとした。

● 改定後の印刷・情報用紙ガイドライン

1)以下のパルプを多く使用していること
A 古紙パルプ
B 環境に配慮したバージンパルプ
 @原料となる全ての木材等は、原料産出地(木材伐採地)の法律・規則を守っ
  て生産されたものでなくてはならない
 A森林環境に配慮した「森林認証材」や「植林材」、資源の有効利用に資す
  る「再・未利用材」等からつくられていること
 B塩素ガスを使わずに漂白されたものであることが望ましい(ECFパルプ等)
2)製造事業者が、原料調達時に産出地の状況を確認して持続可能な森林管理
  に配慮していること
3)塗工量ができるだけ少ないこと
4)リサイクルしにくい加工がされていないこと
タスクグループで9ヶ月にわたって議論
今回のガイドライン改定にあたっては、「『パルプ原料についての環境配慮』項目の見直しに関するタスクグループ」として、GPN会員の中から34名のメンバーが集められた。製紙会社、流通会社、印刷会社、一般の紙購入会社、自治体などのほか、環境・消費者団体からも私を含む7名が参加し、2005年7月まで9ヵ月にわたって会合が開催された。

今回のタスクグループではメンバーのそれぞれの立場からさまざまな意見が出され、熱い議論が交わされた。特に議論となった点は、「環境に配慮したバージンパルプ」をめぐる原料の分類方法や、生産地情報の掲載についてである。
「環境に配慮したバージンパルプ」をどのように考えるか?
タスクグループおよびその間に開催された改定案作成のための小ワーキンググループ会合で、製紙会社のメンバーは「持続可能な管理が行なわれている森林から取得されたもの、および他用途向け原料の残材または再利用材」として、森林認証材、植林材、二次林材(注1)、製材残材等をあげた。

注1 天然林は、自然のままで人手が加えられていない原生林と、災害や人為によって破壊された後にその土地本来の自然植生が発達した二次林に分類される。

これに対してJATANなどのNGOメンバーは、二次林材には環境に悪影響を与えているものが含まれていること、植林材であっても森林管理の状態が問われること、森林管理の状態を確認するために生産地の情報を入手できる方法を提供すべきであること、森林認証についてはさまざまな制度の信頼性を評価する必要があることなどを主張した。

パルプ原料の生産地の環境や社会に悪影響を与えるものとして、保護価値の高い森林の破壊や、天然林の大規模な皆伐やその後の単一樹種による植林などがある。原生林だけでなく二次林でも豊かな生態系を形成しているものもある。二次林であっても皆伐や植林に転換すれば、生態系の破壊となる。また、植林材、二次林材といった分類は、あくまで森林管理の状態を判断する「目安」にすぎない。バージンパルプの原料が適切な森林管理の下に伐採されたものであるかどうかについては、生産地の情報を確認する必要がある。

以上の判断から、ガイドラインには環境に配慮したバージンパルプとして森林認証材、植林材、再・未利用材等からつくられたものをあげることで合意したが、ガイドラインの背景説明にはこれらが「目安」であることが記載された。
バージンパルプに対する環境配慮に向けて第一歩
今回、GPNで初めてバージンパルプ原料に関する環境への配慮事項が盛り込まれたことによって、古紙利用だけが注目されバージンパルプ原料に対する配慮がほとんど行われてこなかった日本社会の流れを大きく変えることになったと考えている。合計10回にわたる会合に参加することによって、伐採による環境への影響や森林管理などに関するNGOとしての考え方を示してガイドラインに盛り込み、製紙会社など他のメンバーに知らせることもできた。

環境に配慮したバージンパルプが、材の種類にとどまったのは不十分であることは否めないが、これによってパルプ原料に関する基本的な知識が広がり、今後、詳細な情報を確認する必要があるという認識が生まれてくるものと考えている。
GPNデータベースの利用方法
GPNのガイドラインでは古紙と環境に配慮したバージンパルプに優劣をつけないことになったが、GPNのホームページに掲載される製品データベースには、それぞれの原料の利用率が掲載される。そこで最後に、PNデータベースの利用方法について、私からの提言をしたい。

● GPNデータベースの利用方法の提言

以下の利用率(の合計)が最も高いものを優先して選択
 ・古紙
 ・再・未利用材
 ・森林認証材(FSCのみ)

古紙や製材残材などの再・未利用材は資源の有効利用になる。森林認証材については、認証基準が低く信頼性に欠ける制度もあることから、データベースに掲載されている制度名を確認する必要がある。 JATANではFSC(森林管理協議会)が唯一信頼できる認証制度であると考えている。その他の認証制度については基準が低く、破壊的な伐採を容認しているなどの問題がある。

特に、オーストラリアの森林認証であるAFSや、AFSを承認しているPEFCによるものは、天然林の破壊が問題となっているタスマニアのガンズ社からのものが含まれている可能性があるので注意する必要がある。

植林材はそれだけでは森林管理の状態がわからない。日本の製紙会社は海外他社からも原料を購入していることから、天然林を皆伐して転換したものや、周辺の生態系に悪影響を及ぼす化学薬品等を使ったものが含まれている可能性がある。こうした問題がないことが確認できない場合は、次善の選択肢として考えた方がいいだろう。

私は、GPNのガイドラインより慎重な態度をもって、古紙、再・未利用材、FSCによる認証材の利用率(の合計)が最も多いものを優先して選択することを提言する。

※ガイドラインの詳細と製品データベースは、http://www.gpn.jp/に掲載されています。
> 熱帯林行動ネットワーク(JATAN) http://www.jca.apc.org/jatan/index.html
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3.「節」と「割れ」
     〜木材品質に対する住宅購入者の誤解と国産材を高くしている隠れた要因!(後編)
国際環境NGO FoE Japan 代表理事 岡崎 時春 氏
「割れ」を少なくするには? ――天然乾燥と人工乾燥
日本の在来の建築工法では、木材は「割れるもの」との前提で大工がこれに取り組んできた。できるだけ長い工期を取り、乾燥度を吟味しながら造作を進めていく、いわば木材と会話しながらの建築手法とでも言おうか。

ところが高度成長期以降、経済性重視の大手住宅メーカーを中心に「木材の工業製品化」と「建築工期の短縮」へと突き進すんだ。これは住宅の工業製品化を早くから取り入れた米国・カナダから大量の「人工乾燥材」の輸入や、2×4工法など外来工法の導入により「短納期住宅」を可能にしたのだ。

国内製材所も欧米の人工乾燥技術を導入し、日本の原木に合った乾燥工程を開発しているものの、元来、日本の原木の水分含有率が高いせいか、輸入材に比較すると国産材の割れは少ないとは言い切れない。

その他、合成接着剤が多用された木材製品も短納期を促進し「健康住宅」などは単なるお題目に過ぎず、シックハウス問題が蔓延してしまった。

最近はその不利を克服すべく、在来手法の一つである山での葉枯らし乾燥からはじまる天然乾燥が見直されている。3ヶ月間葉枯らし乾燥を施し、粗引き製材後、薄板で数ヶ月、梁・桁で1年以上、ストックヤードにて乾燥する手法。割れのみならず狂いや反りも落ち着き、自然で艶やかな木の表情と、居室内の湿度調整機能という木の特徴も活かすことができる。さらには葉枯らしにより木材が軽量化されるため、輸送費の軽減、CO2排出削減にも寄与する。

ただし天然乾燥は、室内環境を快適にし地球環境にも資する乾燥方法であるものの、JAS規格等の認定に適合する安定した含水率を常時維持するにはやや難がある。
「割れ」「狂い」の少ない材は高いか? ――乾燥のコスト
プレカット工場は「乾燥材」と指定されたものを志向するが、乾燥指定でない材に比べ、乾燥材は少なくとも2〜3割高い。家1棟分で数十万円のコスト差が生じることとなる。また乾燥材は全て人工乾燥とは限らず、梁のように断面積の大きなものは、天然乾燥と人工乾燥との組み合わせが通常である。

下表は梁に適用されることの多い松の価格例を示したものである。表中の地松(国産松のこと)は天然乾燥と人工乾燥の組み合わせだ。乾燥コストが高いか安いか、それは工期や大工の手間賃との兼ね合いで判断するべきだろう。

表1 地松、米松の一本あたりの価格

乾燥指定 価格(円)
120mm幅×330mm高さ×4m長 120mm幅×180mm高さ×3m長
あり 18,000 10,500 5,500 3,900
なし 12,600 7,800 3,300 2,900
「割れ」に対する認識変化の兆し ――「無垢=自然素材」という概念
「無垢」という言葉と「木材」とが結びつかないという人が非常に多くなったと感じている。本来の木材とはすべて無垢を指していたので、敢えて無垢材と言わなかったが、この20年来の合板や集成材の台頭により、改めて「無垢」と付けざるを得なくなったということであろうか。

合板や集成材が工業製品であるのに対し、無垢材はシックハウス問題の影響のせいか、自然素材と言われるようになった。無垢材は、健康にプラス効果があるばかりでなく、資源循環の点でも再利用やリサイクルが容易で、製造過程でもエネルギー消費を軽減でき、しかも木材が利用されている数十年の間、炭酸ガスを固定し続けるのである。住む人の環境にとっても、地球環境にとっても優れた素材である。

無垢の材を得るには、合板や集成材に比べて太い木を必要とする。したがって世界的にも大径木は減少し、無垢材は比較的高価であるものの、クロスや木質ボードなどの内装材に比べ、湿度調整効果が高く、化学物質を蒸散しないため床・天井・腰板には、若干高価でも、無垢材の長短所、つまり割れ・反り・曲がりを理解した上で採用する人が増えていると聞く。
無垢・国産材の上手な選び方 ――「節」や「割れ」に対する対策
最後に自然素材である無垢材、および国産材にこだわる方々へ私の経験から、いくつか提案したいと思う。購入・施主側の一助になれば幸いである。

1.節や割れは、住宅の基本的機能・性能には影響を及ぼすものではないと認識すること。
2.床については「上小節」または「小節」を採用すること。
3.他の内装材(天井・腰板)には「特1等」を採用すること。
4.和室など真壁造りで柱面が見える所でも「小節」「特1等」を採用すること(和室を設ける施主は金持ちと見られ、工務店は利ざやの大きい「無節」を売りつけるので良く注意)
5.「節有り」を好まない人には約1m間隔に長手方向に継ぎ目(フィンガージョイント)のある集成材がある。「上小節」程度の節しかなく、価額が特1等と同じなのでお勧めである(接着材の使用量は通常集成材に比べて格段に少ない)。
6.建築工期は木材の乾燥・収縮による狂いを矯正するため長いほどよいが、あまり長いと大工の手間賃が高くなるので、棟上から工事引渡しまで6ヶ月程度が適当である。
7.できるだけ「天然乾燥材」を使ってもらうこと。工務店やプレカット工場はこれを嫌うが、施主側で「割れ」「狂い」を問題にしないことをきちんと伝えること。
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4.森林認証材を使った住宅造りへの取組み 〜菊池建設(株)編 (後編)
菊池建設株式会社 営業部営業推進課 平田心一氏
認証制度活用の利点
SGEC認証林 作業手順書の見極めに時間を費やしたため、日本製紙(株)と共同で「SGEC森林認証の家」の開発に取り組むことの合意に至ってから1年以上の歳月が経過してしまいましたが、2005年(平成17年)4月28日に、晴れて「分別・表示システム」の認証を取得することができました。既に前年の11月末から、北山社有林において杉・檜の伐採を行っており、伐倒木の玉伐り・搬出は認証を受けた「分別・表示システム」に従い実施することができました。
図1 SGEC森林認証森林の様子

北山社有林の認証材活用にあたっては、大きく2つのポイントがあります。1つは「間伐材」であることです。木造住宅に多く使われる杉・檜などの人工林では、森林の成長に応じて木々を間引く間伐は、健全で活力のある森林を育てていく上で欠かすことのできない作業の一つとなっています。しかしながら、日本国内では国産材の利用低迷のため適切な間伐が行われず、放置され荒廃してしまった森林が増えてしまっています。

北山社有林の場合、適切な間伐が繰り返し行われてきたため、建築用材として用いても品質上全く問題の無い良質材に育っています。今回伐採したものは樹齢50年以上経過したものですので、一般に言われる間伐材と同列に扱うことはできませんが、間伐材の利用を促進して行くことは、日本の森を健全に育て森林の持つ公益的機能を十分に発揮させることに繋がります。

なお適切に間伐することによって、森林内に十分日差しが行き渡るようなり、森林内に下草も生え、山の保水能力が向上し、大雨の場合にも土壌流出を防止することができます。残された木々が存分に光合成を行い、大気中の温室効果ガスである二酸化炭素を吸収するため、地球温暖化防止にも効果があります。

もう1つは「葉枯らし乾燥」です。伐倒木は枝葉を付けたまま、半年間、森林内に寝かせておきます。この間に木材内部の水分が樹冠部分に移動し、枝葉から蒸散されていきます。伐採直後の生木に比べ、約半分にまで木の重量が軽くなり、搬出効率も良く、運搬燃料も節約できます。木の生理現象を利用した乾燥なので木質組織に負担が少なく、色艶の良い木材に仕上がります。人工乾燥に必要なエネルギーも節約できます。

こうした取組みができるのは、森林所有者と木材需要者が同じSGECの認証システムを取得していることのよる信頼関係があり、伐採計画量をすべて引き取る話し合いがなされているためです。特に「葉枯らし乾燥」は伐採後も森林地内を使用し続けることとなるため、信頼と理解が得られなければ実現しにくいのではないでしょうか。

しかし流通の川上である森林所有者と川下の木材需要者とが直接話し合うことで、当社の場合では「葉枯らし乾燥」木材を実現し、消費者に新たな価値ある製品を提供できたのですから、全国各地でも従来の枠を超えた話し合いの場を設けて、国産材の消費拡大に取り組まれてみてはいかがでしょうか。
森林認証材の認知度を高めるために
SGECに限らず、これまでの森林認証材は生産地である森林と製材加工段階までの認証を取得されたものが大半であり、最終製品まで一貫した認証を取得するものはほとんど見当たりませんでした。製材品(材木)は消費者にとっては最終製品になる前の原材料であり、身近な存在ではありません。

環境問題に関心があって森林認証制度の意義を理解した方でない限りは、認証材を住宅材料に指定することは稀です。製材業者が単独で認証マークを入れた製材品をいくら作ってみても、その価値を知ってもらえなければ消費は進みません。認証材の消費者への認知度を高め、購入してもらうには住宅や家具、木工製品などの最終製品をつくる企業なり業者が、自ら原材料に認証材を採用し他の製品との差別化を図っていくことに活用する方法が有効だと思います。

当社の場合、早くから国産材を他社との差別化のために積極的に採用してきました。国産材の有名銘柄は化粧材の高級ブランドイメージが強く、手頃な価格帯の住宅には使えません。しかし名の知られていない地域でも素性の良い木材はあります。従前からこうした隠れた良材を探し出し、住宅材料に採用してきましたが、このたび取り扱うようになった富士山麓のSGEC認証材はまさしくこのケースにあてはまるものです。

木材自体が建築用材として申分ない品質であることが重要ですが、その条件さえ満たしていれば地域銘柄が無名であっても障害にはなりません。むしろ環境保全にも配慮された認証材であることが従来の銘木とは異なる新しい価値となり、環境意識の高い消費者には評価される材料となっています。
森林認証が消費者ニーズになる
当社では、消費者にとってまだあまり認知されていない森林認証材を知っていただくために森林見学会を実施し、既に数十組の見学希望者を現地へご案内しました。

参加された方々からはロケーションの良さと、その環境の中で育った杉・檜に好印象を受けたとの感想を数多くお聞きしました。なによりも自宅に使われる木材の産地が明確に判るため、食品の安全に対する原材料明記の要望と同じ様に、安心できる木材として参加者の関心が高まっています。
森林見学会
図2 森林見学会の様子

トレーサビリティがしっかりしていれば、森林認証材でなくとも消費者に納得していただけるかもしれません。しかし認証制度に基づきしっかりと分別・表示管理された木材を使用した上で、証明書を発行する仕組みほど説得力のあるものはありません。さらに見学希望者を直接現地にご案内することで”生産者の顔が見える”安心と信頼を寄せていただける住宅づくりが実現できたのではないかと考えています。

当社が住宅完成時に発行する証明書は「分別・表示システム」の終着点であると同時にもっとも価値のある成果物です。「SGEC認証材使用住宅証明書」と名づけた書類には、認証材の産地場所が明記され、すべての木材使用量に対する認証材の割合がパーセント表示されます。

この数量表示のために、一本拾いされた構造・羽柄・野物材の明細調書と木質建材リストを建物ごとに精査・作成し、実際の建物に使用される木材の種類と数量を正確に把握しています。例えていえば、果汁入り飲料の果汁含有率と原材料表示に相当するものを証明書として発行するものです。果汁含有率のより高いものを求め、なかには果汁100%でなければとおっしゃる方もあります。

住宅にも同じような要望が出てくるでしょう。森林の環境保全への取組みと住宅材料としての活用、そして証明書の発行によってこれまでにない消費者ニーズを作ることができたと考えています。既に証明書の発行も含め「認証材で我が家を」希望される方々から注文住宅のご契約を頂いており、SGECマークを刻印した認証材を使った建築現場も誕生しました。

認証材を使うことの価値を認めていただければ、今後消費者から認証材を使うことが必要条件として求められる日が訪れるのも遠くないでしょう。国産材の活用を消費者ニーズから広げていくためにも、森林認証制度の普及・啓蒙活動を、行政も含めた幅広い組織で推進していくべきではないでしょうか。
> 菊池建設(株) http://www.kikuchi-kensetsu.co.jp/index.html
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発 行 : フェアウッドキャンペーン事務局 http://www.fairwood.jp
編 集 : 坂本 有希/三柴 淳一
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