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ルーマニア その2

2018.9 掲載

木材調達リスクに関する報告書

EIAによる最新の現地調査をまとめた報告書。前回の報告書から根本的には状況は変わっておらず、オーストリアの企業シュバイクホファー社による違法木材の買取が続いていることを報告。EIAは、他にも数社、同様の違法取引を行っている会社があるものの(クロノスパン社及びエガー社が報告書中には記載されている)、この10年でルーマニアの原生林の3分の2が失われたことについて、シュバイクホファー社が主要な原因であるとして引き続き批判している。さらに、ルーマニア政府は1年がかりで同社による違法伐採、脱税、組織的犯罪への関与について調査しており、2018年5月には同社の施設及びサプライヤーに対する立入捜査を行っている。ルーマニア政府は、同社により受けた国の損害は2,l500万ユーロ(約31億5,000万円)にのぼるとしている。

この報告書のもとになったEIAの調査では、一般公開されているルーマニア政府の設立したオンラインの木材輸送の追跡システム「フォレスト・インスペクター」のウェブサイトなどの情報をもとに、搬出が活発に行われている伐採地を実際に訪問している。この調査によれば、2017年1月から2018年6月の18ヵ月の間に、シュバイクホファー社のサプライヤーはルーマニアの2つの国立公園の50カ所の伐採地から3万5,000m3の木材を輸送していることが明らかになっている。また、シュバイクホファー社はウクライナ(*CPI汚職腐敗指数30)、ベラルーシ(*CPI44)、スロバキア(*CPI50)という近隣国からの輸入を増加させている。
(* 筆者加筆)
THE ROLE OF LOG DEPOTS IN SCHWEIGHOFER'S ROMANIAN SUPPLY CHAINS シュバイクホファー社はすでにルーマニア国内の自社林を売却しているため、第三者である丸太集積所を通して木材を購入する(左図参照)。同社はルーマニア国内の丸太集積所の木材の半分を購入している。同社の主要なサプライヤーであるFransinul社はロドナ国立公園及びカリマニ国立公園近くにある4つの集積所に木材を販売している。前述の「フォレスト・インスペクター」のサイトにあるデータによれば、Fransinul社は二つの国立公園内で伐採を行っており、6,000m3の木材を搬出している。同社はすでにルーマニア政府による汚職捜査の対象となっており、捜査は現在も継続中である。また国立公園内での違法伐採に関しても2018年4月に捜査が始まっている。EIAは今回の調査でロドナとカリマニの2つの国立公園の現地調査にフォーカスしており、国立公園内から実際に木材が切り出されそれを隠すための工作がなされる場面も記録におさめている。
上図:報告書p6 より
シュバイクホファー社は最近強固なデューディリジェンスシステムを導入したとしている。しかし同社の半分の木材が丸太集積所に由来し、それらの木材に関しては伐採地までのトレーサビリティについてほぼ何の情報も持っておらず管理もできていない。さらに同社の使用するTimflowのGPSシステムは、ルーマニア国内に限定されており、同社は木材の半分を輸入していることからも、同社のサプライチェーン管理は機能していないことがわかる。
日本は引き続き同社の最大の輸出国である。EIAが最初に報告書を出してからここ3年で、ヨーロッパにおけるシュバイクホファー社の主要な顧客は購入を止めている。にもかかわらず、日本の大手商社(例えば阪和、住友林業、伊藤忠建材、双日が前回の報告書にもあがっている)は、EIAの指摘する問題について深刻に受け止めているとしながらも、同社からの購入を止めていない。また、FSCはシュバイクホファー社の認証を撤回し、同社との関係を完全に断っている。

その他の関連資料

ルーマニアからの木材の合法性確認(DD)において留意すべき点

EIAは2018年8月、日本市場に向けた特別ブリーフィング「東欧から日本への木材調達に新しい法的リスク」を出した。それには、過去10年間シュバイクホファーのルーマニアとウクライナにおける事業の最大の支援者であり続けたことで問題改善の必要性が感じられなくなっていることを指摘。阪和や住友林業など大手日本企業が輸入を続ける限り、これら地域における違法伐採はこの先も止むことはなく、必要な改革も起こらないだろうとしている。また、FSCやPEFCという認証制度がウクライナ、ルーマニア両国の違法伐採を阻止できなかったことからも認証制度のみではきちんとした合法木材テューデリジェンスはできないと強調。以下、EIAからの日本市場に向けた勧告である。

  1. 日本企業は、シュバイクホファー社が木材調達における物理的なトレーサビリティ制度を確立しトレーサビリティを完全に証明できるまでは、即座に同社社からの調達を止めるべきである。
  2. シュバイクホファーから木材を輸入する日本企業は自社の調達方針全般とその透明性を改善し、自らの調達方針への準拠をどう確認しているのかを、説明できなければならない。
  3. 日本政府は主要な日本の輸入企業の調達方針とその実施状況を分析し、それらの方針がクリーンウッド法のもと求められている合法木材のみの購入を確実にしているかどうかを、評価しなければならない。政府はその上でクリーンウッド法に準拠していない、伐採地の法令に違反して調達された木材を購入する企業に警告をすべきである。
  4. 日本政府は、日本の主要な輸入業者が自らの調達方針が法律で求められる基準を満たすかどうかを検討しやすくなるよう、クリーンウッド法の実施についての詳細なガイダンスを提供すべきである。



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