フェアウッドマガジン
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第8号
www.fairwood.jp フェアな木材を使おう
フェアウッドマガジン 第8号 INDEX                        August 2004
1. 欧州木材調達事情 第1回 認証材が8割を占める売り場を見て〜B&Qの例〜
今回から連載で、欧州における政府、企業の木材調達方針の現状についてご紹介いたします。第1回目は、英国最大、世界でも第3位の規模を誇るDIY会社、B&Qの木材調達方針についてです。
2004年6月にロンドン郊外にあるB&Qショップを訪れましたが、店内にはFSC商品があふれ、CSR担当者は誇らしげに、同社の妥協のないポリシーについて語ってくれました。
((財)地球・人間環境フォーラム 満田夏花氏)
2. 技術の粋を極めた紙製飲料容器「カートカン」 − 日本の森林の救世主になり得るか!?
最近、にわかに注目を集めている紙製飲料容器「カートカン」。この普及を目指すことで、日本の森や世界の森林資源の保全に寄与することを目的とした「森を育む紙製飲料容器普及協議会(もりかみ会)」も平成16年4月に設立された。この設立は林野庁のバックアップによるものであるという。官・民一体となって普及に取組んでいる期待の「カートカン」のこれまでの経緯と現状について概観し、今後の課題、展望などについて考えてみたい。
3. 「ラミン材取扱い停止」企業が続出! ラミン調査会 〜その後の活動から〜
熱帯樹木で絶滅危惧種の一つ「ラミン」は、日本国内でも家具材、小物類をはじめ、様々な形で利用されています。ラミン調査会では、これまでの国内におけるラミン材消費実態調査結果を基に、行政機関、民間企業に対して「ラミン材使用停止キャンペーン」を行い、大きな成果を挙げました。
去る6月24日のプレスリリースと「ウータン・森と生活を考える会」事務局長の西岡氏へのインタビューを基に、キャンペーンについてご紹介いたします。
4. 世界のニュース
* Xinhua News Agency:中国が国内森林保全対策〜2010年までに樹冠被覆率を19%まで回復
* 日経新聞:税関手続き、アジアで統一・政府、申告業務を電子化
* 林野庁:農林水産省木材利用拡大行動計画の平成15年度の実施状況について
* Rainforest Action Network:RANがBuyGoodWood.comサイトを開設!
* swissinfo:木材業者が持続可能な木材利用へシフト
1.欧州木材調達事情 第1回 認証材が8割を占める売り場を見て〜B&Qの例〜
(財)地球・人間環境フォーラム 満田夏花氏
今回から連載で、欧州における政府、企業の木材調達方針の現状についてご紹介いたします。第1回目は、英国最大、世界でも第3位の規模を誇るDIY会社、B&Qの木材調達方針についてです。

2004年6月にロンドン郊外にあるB&Qショップを訪れましたが、店内にはFSC商品があふれ、CSR担当者は誇らしげに、同社の妥協のないポリシーについて語ってくれました。

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B&Q木材調達方針
B&Q社は、イギリス最大、世界第3位のDIY会社であり、Kingfisher社の子会社。イギリスに330店舗をもち、従業員数は36,000人。環境、多様性、倫理、コミュニティーという幅広い分野にわたる同社独自の方針を有し、経営に反映させている。

同社は、1991年、「2000年までに、取り扱うすべての木材製品をFSC認証によるものにする」という木材調達方針を打ち出した。

2003年現在、同社は、その取り扱い製品の実に80%がFSCであり、その他の認証もあわせると95%という驚異的な数値を達成している。
図1 店内の展示品には「適切に管理された森林からの木材しか売りません」との表示がある

木材調達方針は、さまざまな認証制度の登場に合わせて何度も改定を重ねた。当初方針を揺るがすことなく、他の認証制度をどのように購入方針の中に組み込んでいくかが常に争点となったのだ。

しかし、もっとも新しい方針(2004年5月)では「基本的にはFSC認証のもの、またはリサイクル材(注1)」というシンプルかつ強力なものに落ち着いた(下表参照)。

注1 例外的に、FSCの要求するレベルに改善すると保証されているもの、例えばTFT(スイスのNGO、熱帯林トラスト)からの木材製品なども取り扱っている。

そのような木材調達方針の内容、実施方法、策定のきっかけ、コスト、動機などについて、同社CSRディレクターRay Bakerさん、Hilary Thompsonさんに聞いた。
なぜ木材調達方針?
「これはコストではなくて投資ですよ」と二人はほぼ口を揃えて断言した。私たちがB&Qの木材調達方針実施のコストについて尋ねた時のことである。「というのは、私たちはこれにより違法材を使用するというリスクを回避し、ブランドを確立し、信頼できる企業だという評判を得ています。そして何より、我々B&Qで働く人間がそのことを誇りに感じています。これは大きなことです。他方、現在のEU市場で木材合法性や持続性についてどんどん厳しくなる社会的ニーズにも、先行した分、低コストで対応できていますしね」。

B&Q社が最初の木材調達方針を策定したのは1991年のことだった。当時、熱帯林の破壊が改めて脚光を浴びており、イギリスでも1990年にFoE-UKなどが熱帯木材のボイコットを呼びかけていた。こうした中、B&Qの社長はあるジャーナリストから「B&Qの商品のどのくらいが熱帯雨林からきているのか」という質問を受けたが、応えられなかった。これが同社における木材調達方針策定のきっかけとなったという。

「関心がなかったわけではなく、単に情報がなかったわけです」とThompsonさん。

1991年9月、B&Qは購入するすべての木材・紙製品について調査を行い、その結果を踏まえて、段階的に出所の明らかなもの、よく管理された森林からのものを使うという方針を打ち出した。そして、包括性、独立性、透明性の観点から最も信頼性の高いFSCの認証制度を確立させるため、WWF+95のバイヤーズ・グループ設立メンバーの一員となった。
木材調達方針の改定
その後、何度かの改定を経て、木材調達方針は現在のものにまとまった。最新の改定においては、フィンランド認証材の取り扱いが問題となった。今までFSCと同等としてフィンランド森林認証スキーム(FFCS)も認めていた。しかしフィンランドにはロシアで違法伐採された木材が違法に輸出されていることが、いくつかのケースにおいて明らかになったため、これを除外することとしたのである。

2004年5月版の木材調達方針の内容は囲みに示すとおりだ。「FSCは現存する認証スキームの中ではナンバー・ワン」(Thompsonさん談)として、基本的にはFSC認証材かリサイクル材とした。インドネシア・エコラベリング協会(LEI)等のFSC水準を達成するという裏づけのある他の認証スキームも認めること、及びSGS(注2)による認証サポートプログラムやTFTとの覚書により、認証獲得に向けて継続的改善が行われていると確認できた木材については、CSRチームの特別な許可において購入することもあるとしている。

注2 FSCの第三者認証審査機関。日本国内では、SGSジャパン、アミタ(株)などがある
実施方法
「我が社のCSR担当スタッフは7人ですが、頻繁に現場に行っています。現場を見て、仕入先やNGOと議論をすることは重要ですからね」とCSR担当ディレクターのBaker氏は強調する。

実際の取引に際しては、サプライヤーに質問状に応えてもらう「Quest」方式を実施している。「Quest」は、品質、倫理、安全、環境を含んだもので、これを通じて10の原則に照らしてサプライヤーの環境社会面におけるパーフォーマンスを判断している。新規の取引にあたっては、数時間にわたるインタビューを行うこともあるそうだ。

「木材調達方針を実施する圧力となっているのは何ですか」という問いに対しては、「第1に顧客からの要求、第2に株主からの要求、第3に社員がB&Qで働くことに誇りをもてること」とのことだった。
B&Qの木材調達方針抜粋(2004年5月版)
すべての木材製品は、出所となる森林の場所がわかっており、サプライヤーが、当該森林が適切に管理され、それに関して独立した認証が行われているということに関する十分な保証を与えるものでなければならない。

認証は、森林から最終の加工業者までの追跡が可能なものであり、「Chain of Custody」の認証を含んだものでなければならない。

B&QはFSCが現在利用可能な基準及び認証手続きの中で最良のものであると認識しており、すべてのスキーム及びサプライヤーがFSCの認証を達成することを強く推奨する。B&Qは通常、FSCのもとで認証された製品を購入する。

しかし、Kingfisher木材調達方針に沿って、B&QはFSCの水準に向かって動いている他のスキームも認めており、以下のものを受け入れている。
3年以内にFSC基準を達成すると裏づけのある他のスキームにより認証されたもの。LEIがこれに該当する。また、B&QはFSC及びマレーシア木材認証協議会(MTCC)間の議論を注視している。
極めて限定された範囲において、認証取得に向けて、継続的な改善を行っているという独立し証明しうる行動計画を有するもの。これを担保するために、SGSによる認証サポートプログラムまたはTFTとの議事録が必要とされる。この例外事項はB&QのCSRチームによる個別の許可を必要とする。
B&Qで試行的に販売を進めているきわめて限定された数量の商品については、認証が取得できる見込みがあり、6ヶ月以内に認証を獲得できるというサプライヤーのコミットメントがあるものを認めている。この例外事項は、CSRチームの個別の許可を必要とする。
82.5%以上の確認可能な市場回収リサイクル原料を用いた商品。この商品でも、FSC認証の対象となり、バージン原料については、認証されているか、または議論を呼ばない原料であるということが証明されている必要がある。
顧客にシンプルなメッセージを送るため、B&QはFSC及びTFTのロゴのみを製品に使用する。上記の例外リストに該当する場合または原材料が複数の出所であるためメッセージが複雑である場合は、B&QはCoCによりバックアップされた「truth statement」を使用する。
> B&Q社 http://www.diy.com/
> 熱帯林トラスト(TFT) http://www.tropicalforesttrust.com/
> FSC(森林管理協議会) http://www.fsc.org/fsc
> SGS http://www.sgs.com/
> マレーシア木材認証協議会(MTCC) http://www.mtcc.com.my/
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2.技術の粋を極めた紙製飲料容器「カートカン」 − 日本の森林の救世主になり得るか!?
フェアウッドキャンペーン事務局
最近、にわかに注目を集めている紙製飲料容器「カートカン」。この普及を目指すことで、日本の森や世界の森林資源の保全に寄与することを目的とした「森を育む紙製飲料容器普及協議会(もりかみ会)」も平成16年4月に設立された。この設立は林野庁のバックアップによるものであるという。官・民一体となって普及に取組んでいる期待の「カートカン」のこれまでの経緯と現状について概観し、今後の課題、展望などについて考えてみたい。







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図2 業界期待のカートカン
(出所 森を育む紙製飲料容器普及協議会資料)
カートカンとは?
カートカンは、紙製飲料容器で、英語の「カートン」と「缶」からのネーミング。缶に遜色ない強度を持つ。もともとフィンランドの製紙会社ユナイテッド・ペーパー・ミルズとドイツの容器メーカーのヘラフ社が共同開発したもので、凸版印刷(株)が日本および東南アジアの数ヶ国における独占販売権と、その他東南アジア諸国における優先権を取得していた。

その後、ふたを一体化した独自の技術開発により1995年、現在の円形のものとなり、1996年、ポッカコーポレーションがジュース容器としてカートカンを採用し、販売が始まった。2003年12月現在12社の飲料メーカーに採用され、量販店などで販売されている。

もりかみ協議会専務理事の高村豊広氏によれば、カートカンのセールスポイントは、無菌充填、常温保存ができること。凸版印刷の行った消費者アンケートでも、「味がよい」、「品質保持能力が高い」、「紙製のため飲み口が安全」などといった声が寄せられているとのことだ。
カートカンと国産材
カートカンは、自動販売機でも販売されるため一定の強度が求められる。それに欠かせないのがN材(注3)と呼ばれる針葉樹からの長繊維で構成される紙で、缶の縁に相当するところに使用することで複雑な加工に耐えうる強度が得られるのだ。これに使われたN材は、国内の人工林から産出された間伐材、製材残材を含む国産材だったのである。これに注目したのが、国内森林整備に手を焼いていた林野庁である。自ら音頭を取り、業界団体をまとめ、「森を育む紙製飲料容器普及協議会(もりかみ協議会)」設立の運びとなった。カートカンは2003年12月に間伐材マークを取得し、国産材振興の旗印となったのである。

注3 N材はドイツ語のNadel Holzの略で針葉樹材を指す。また広葉樹材についてはL材(Laub Holz)と呼ばれる。ちなみに日本の森の約半分は人工的に針葉樹が植林された森である。
カートカンの製造および原料
カートカンの製造は、日本ユニパックホールディングスのグループ企業の一つ、日本大昭和板紙(株)の芸防(げいぼう)工場にて一手に引き受けている。各種板紙のほか、パルプ製造設備も有しており、カートカン板紙用のパルプも製造している。現在、カートカン板紙の生産能力は150t/日、カートカンの消費量は年間1億本で、現状2〜3億本/年程度が最大生産能力であるという。

原料の内訳を見てみると、国産材(間伐材と製材残材を含む)の比率が30%以上。N材(スギ、マツ)が15%、残る15%は国産L材。そして残りの70%は輸入チップ、およびパルプであり、わずかに輸入のN材が混入することもある。輸入チップ、パルプについて、具体的な原産地名や樹種など、詳細なデータは公表されていない。

なお、原料内訳における国産N材の使用量割合は、カートカンの品質維持のできる限界まで使用されている。その限界とは構造的というよりはむしろ、白色度などといった品質、製造コスト面における限界値であり、それを超えると、白色度維持のための漂白剤の多用、異物混入による歩留まり率の悪化などといった二次障害により製造コストの上昇を招いてしまう。

また、一般的に飲料用容器には食品衛生法第3章第16条などにより使用することはできない。飲料容器は人が直接口をつけるため、蛍光塗料など健康を害する可能性のある物質の混入の恐れがあり、さらに安全面から完全にその出自を把握できないため、古紙材料は使用することができない、と日本大昭和板紙(株)板紙営業本部白板紙第一営業部長の橋本裕氏、同じく白板紙営業部課長の小山正治氏は解説する。
国産材利用30%で旗印?
もりかみ協議会では、10年後、年間54億本(1人当り週1本消費)の消費量を目標に掲げている。現在、グリーン購入法により間伐材、製材残材等の利用が推奨されるようになったものの、市場品目数は少ない。実現すれば、素晴らしい国産材利用品目の1つとなる。

ただし、現状は年間1億本で特定需要に応えるにとどまっており、もりかみ協議会の活動も端緒についたばかりで、具体的な戦略はこれからである。

一方、カートカン原料の原産地について気になることがある。30%の国産材に関しては、1つの工場においてパルプから用紙まで一括して製造していること、強度維持のためにN材が不可欠なこと、そして産地についてもほぼ明らかにされていることなど申し分ないが、残りの70%については、外国産のチップ、パルプであること以外、明確な回答は得られなかった。

そもそも原料の70%は外国産材であることから、カートカンの普及・啓蒙活動は、たとえ国産材の利用促進を狙ったものにせよ、70%の外国産材をも啓蒙していることになる。製品の品質、原料調達コストなど、様々な要因のもとに決定している原料比ではあるものの、過半数に満たない30%国産材利用製品が旗印では、いささか寂しい限りである。
障害となる消費者意識
橋本氏と小山氏に、カートカンにおける国産材の利用率30%を引き上げる可能性について質問したところ、お二人とも異口同音に「真っ白ではなく、少し茶が混じっていても消費者の方々が使ってくれれば可能性はある」と語った。通常の紙コップを含め、製品に求められるのは白さと異物混入防止であるそうだ。たとえば、白色の製品に黒色の繊維や小さな点状の異物が混入してしまうと「髪の毛」や「ごみ」といった指摘を受け返品されるとのこと。強度や衛生面など、製品としては何の問題もないが、潔癖な白色を志向する消費者意識はわずかな異物も茶色も許容しないようである。

製品の白色化に必要なプロセスは漂白であり、技術的にはN材、L材を問わず可能であるものの、樹脂の多いマツや繊維が濃い色のスギなどは、大量の漂白剤や樹脂対策を必要とするため、製造コストや環境負荷に大きく影響する。また、一般的にもIT機器の普及により、上質紙、印刷用紙といった白色度の高い製品が需要の大半を占め、消費者の志向も白色に大幅に傾いており、L材の需要はますます増加している傾向である。
カートカンの今後の課題と期待
カートカンは牛乳パック同様、他の紙製品へのリサイクルも可能で、間伐材を含む国産材を利用することで森林環境へも配慮しており評価できる製品である。ただし、原料については今後、以下のような改善を期待したい。

100%の国産材使用は技術面、コスト面、そして資源調達の面において、困難であろう。しかし外国産材70%使用で「国産材振興」の旗印とするには、あまりにも説得力に欠けるという印象を受けるため、国産材利用率の向上に強く期待したい。

また、必然的に使用しなければならない外国産L材については、原産地や合法性が明らかで、持続可能な森林経営が信頼のできる第三者機関によって認証された材が使用されるように、調達方針やシステムの改善を期待したい。

他方、政府機関や業界関係者の努力に合わせ、消費者である私たちにも幾つかサポートできることがある。それは、@間伐材や古紙を利用した製品を積極的に選択していくこと、A潔癖な白色志向を見直すこと、など業界のN材利用を後押しできるような行動を取ることである。、日本および世界の森を守るためには、官・民の努力と、市民のサポートが不可欠であろう。
> もりかみ協議会 http://www.morikami.jp/
> 凸版印刷(株) http://www.toppan.co.jp/index_f.html
> 大日本昭和板紙(株) http://www.nichidaiita.co.jp/
> (株)ポッカコーポレーション http://www.pokka.co.jp/index.php
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3.「ラミン材取扱い停止」企業が続出! ラミン調査会 〜その後の活動から〜
フェアウッドキャンペーン事務局
プレ創刊1号でご紹介した「ラミン調査会」。この絶滅危惧種の一つである「ラミン」(注4)は、日本国内でも家具材、小物類をはじめ、様々な形で利用されています。同会では、これまでの国内におけるラミン材消費実態調査結果を基に、行政機関、民間企業に対して「ラミン材使用停止キャンペーン」を行い、大きな成果を挙げました。去る6月24日のプレスリリースと「ウータン・森と生活を考える会」事務局長の西岡氏へのインタビューを基に、そのキャンペーンについてご紹介いたします。
図3 DIYショップで売られているラミン材

注4 熱帯樹木ラミン(学名はGonystylus属で25種ある)は、ワシントン条約(CITES:絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)の付属書IIIに掲載されている絶滅危惧種の一つ。2001年5月、インドネシア政府による「ラミン伐採・取引禁止令」の施行により、同国におけるラミンの伐採・輸出は厳しく制限されるようになった。

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国際的背景
ラミン保護のための法環境が整備された2001年以降も、各企業や各公共機関へは浸透せず、インドネシアからマレーシアへのラミン材を含めた木材密輸に歯止めはかからなかった。その後、インドネシアNGOsの独自調査により、インドネシア政府の偽造許可書による密輸ルート(注5)が暴かれ、マレーシア、シンガポールはラミン材等木材密輸の拠点であることが2004年2月に告発された。

インドネシア政府プラコザ林業大臣は、2003年11月、日本でのITTO(国際熱帯木材機関)の会議で「私たちは木材マフィアと闘う。皆さんも違法伐採木の貿易を阻止するための協力をお願いしたい」と述べ、マレーシア政府も同席上において違法貿易決議を上げるよう協力することを表明し、両国の取り組みが期待されたものの、その後進展が見られず、NGOの告発に至った。

日本でも2003年6月、「違法伐採及び違法に伐採された木材と木製品の国際貿易に取組むための協力に関する日本・インドネシアとの共同発表・行動計画」を調印し、違法材取引の調査を始めた。

マレーシア政府のデータによれば、ラミンはほとんど国立公園にしか分布しておらず、半島マレーシアでも同様に国立公園内の分布に限られ、1980年サラワク州では過伐阻止のため伐採禁止措置を取っている。したがってインドネシア産、マレーシア産、シンガポール産(注6)も含め、ほとんどのラミン材は違法伐採・違法貿易によるものと推定できる。

注5 インドネシアからマレーシアやシンガポールへ流れ、その後EU、アメリカ、台湾、中国、そして日本へ輸出されている。
注6 西岡氏によれば、シンガポールにはラミンは生息しないが、他国から経由する際に「シンガポール産」なるラベルが貼られることもあるという。
キャンペーン概要
ラミン材は木目が細かく、均一で、適度に硬く、加工が容易な材で、淡色で清潔感の必要な部分に使われる。製品例としては、巾木、廻り縁、コーナー出隅、ドアフレーム、家具扉の枠、鏡の枠、フォトフレーム、額縁、電話台、スリッパラック、ベビーベッド、カーテンレール、階段用手すり、ブラインド、ほうき・スコップなどの柄、DIY製品の丸棒、イーゼル、分度器など、あらゆる生活用品として利用されている。したがって、取扱い企業(流通、製造、販売など)も大小様々で、特定には困難を極めた。

前述の国際的動向のなかで、ラミン調査会では2001年2月の設立以来、日本政府に先行して消費実態調査を東京、清水、豊橋、大阪、徳島の主要貿易港のある地域において行ってきた。調査方法は、直接店舗を訪れ現物確認、ホームページ、販売カタログ、ヒアリングなど、あらゆるソースを用いたもので、地道なデータ蓄積により取扱い企業を特定していった。

調査過程において、自治体のラミン製品使用が判明したため、2003年4月に自治体を対象としたアンケートを行った。ラミン調査会とウータン・森と生活を考える会との連名で「ラミン材のほうき、モップ使用」につき、全国の主な市役所(注7)へ質問書を配布し、約70%の回答率を得た。

そのうち「代替を検討していきたい」との回答が大半を占めた。2003年12月には全国都道府県知事に対する「違法材・ラミン材使用停止のお願いとラミン材の使用状況」についてのアンケートも依頼し、これも高い回答率85%を得た。違法材使用については「県産材利用で停止」を含め「即時停止」が56%、「停止へ検討」が32%、「対策を取らない」は5つの自治体のみ(12%)で、ほとんどの都道府県が「違法材は停止すべき」と回答した。

このアンケートは、2年前にも行われており、その際「取扱いを止める」と回答した自治体は、23%であったことから、今回の調査により自治体におけるラミン材への関心度合いが上がっていることがわかる。

注7 52の全国県庁所在地、政令指定都市、および大阪府下31自治体の計83自治体を対象とした。

この自治体へのアンケートが功を奏し、各自治体からラミン製品納入業者への問合せにより、即座にゴム材など代替材に転換する企業も出てきた。この状況から「行政からの指摘や示唆がいかに重要かがわかった」と西岡氏は語る。「この時点でほとんどの取扱い企業は、ラミン材の件を知りつつ、転換まではあともう一歩の動機付けがあれば、と推察していた」。

「ラミン材使用停止キャンペーン」実施のトリガとなったのは、2003年11月、スマトラ島北スマトラ州で起きた大洪水だった(注8)。死傷者250人の大惨事となり、洪水の要因として国内で横行している森林の違法伐採が原因だとする声が高まり、一向に進まない違法伐採防止策が改めて議論になったのである。そのような惨事を繰り返さないためにも、西岡氏は同時期に来日していたインドネシア環境団体Telapakとの間で企業に向けたアクションを約束し、キャンペーン実施の運びとなった。早速、再調査を開始し「キャンペーンはウータン・森と生活を考える会を中心に働きかけ、調査はラミン調査会中心に行う」と決め、2月末からウータンでも本格的調査をはじめ、多くの企業が使用していることを突き止めた。

注8 2003年11月3日夜、インドネシア・スマトラ島の北スマトラ州ランカット県バホロック郡のリゾート地・ブキットラワン村周辺で大洪水が発生、死者113人、行方不明者147人を数える大惨事となった。一帯はマウントルーサー国立公園内に含まれ、犠牲者にはオーストラリア人、ドイツ人などの外国からのリゾート客も含まれていた。
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/earth/forest/news/03111001.htm

キャンペーンでは、2004年4月20日から8月初旬にかけ、ラミンを取引、製造、そして大量に販売している企業350社へ「ラミン材の使用停止依頼」と「質問状」を送付した。当初、夏までに100社停止を目標にしていたが、各地のNGO仲間の協力もあり、予想を覆して多くの企業から回答を得ている。8月11日現在、178社から回答(回答率51%)があり、「停止/取扱い止める/扱い止めた」と回答した企業は149社(停止率84%)という状況だ。また、取扱い企業の調査も継続されており、アンケートを実施した350社のほかにも続々と取扱い企業が判明している。

ここまで、約150社による空前の「取扱い停止」ラッシュを受け、世界中から驚きの問合せが殺到している。「皆さんのご協力もあり、今回の行動に対し企業も『違法材対策を始められ、環境を考えるようになった』と、私たちは大変うれしく思います」と西岡氏も感慨深く語る。現在は、アンケートの整理、分析に追われ、ラミン調査会、ウータン・森と生活を考える会のホームページ更新作業にまで手が回らない状況とのこと。「『やれば出来る!違法伐採停止・違法貿易の停止』を合言葉に、今後も違法材停止に取組むところです」。

企業アンケート結果の詳細については、「ラミン材使用停止キャンペーン」最終回答締め切りを待って、後日、続編をお届けいたします。ご期待ください。
> ラミン調査会 http://www1m.mesh.ne.jp/~apec-ngo/sinrin/ramin/ramin.htm
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4.世界のニュース
2004/07/19  Xinhua News Agency:中国が国内森林保全対策
−2010年までに樹冠被覆率を19%まで回復
中国政府は森林回復に野心的な目標を立てた。現在の樹冠被覆率16.55%を6年で19%に向上するというものである。また2020年には23%、2050年には26%という長期的な数値目標も掲げている。同国の森林の多くは経済発展に伴う道路建設のために開発されてきた。この半世紀で86億m3の森林資源を消費し、50億m3以上の建築用材を製造加工したという。
http://news.xinhuanet.com/english/2004-07/19/content_1615491.htm
2004/08/02  日経新聞:税関手続き、アジアで統一・政府、申告業務を電子化
政府はアジアでの貿易拡大をにらみ、各国との間で税関手続きを円滑にするための協議に乗り出した。中国との間で、簡素化に向けた協定の年内合意をめざすほか、東南アジア各国に対しても働きかけを始めた。手続きの電子化や知的財産権保護のルールを整え、本格化する自由貿易協定(FTA)交渉などでの存在感を高める考えだ。
http://www.nikkei.co.jp/china/industry/20040801d3k0103701.html
2004/08/06  林野庁:農林水産省木材利用拡大行動計画の平成15年度の実施状況について
林野庁は、昨年8月に策定した「農林水産省木材利用拡大行動計画」に基づく平成15年度の実施状況について発表した。公共土木工事では、安全柵・手すり等の木製割合を100%にする目標を掲げたのに対し、15年度実績は88%。部局別では、生産局が100%、林野庁が98%、農村振興局が86%、水産庁が82%だった。
また、林野公共事業における木材使用量が1.9倍(目標は2倍)にアップ、補助事業対象施設の木造率が78%(同100%)に上昇したほか本省課長・室長以上の事務机の80%が木製化された。
http://www.rinya.maff.go.jp/puresu/h16-8gatu/0806mokuzai.htm
2004/08/10  Rainforest Action Network:RANがBuyGoodWood.comサイトを開設!
レインフォレストアクションネットワーク(RAN)は、多くのアメリカ企業が環境にやさしい林産物の購入を奨励するためのインターネットイニシアティヴを目的としてBuyGoodWood.comサイトを開設した。サイトでは、ウェアーハウザー社をターゲットとし、長年に渡る破壊的な森林経営の実態をあげて、北米オールドグロスの最大の破壊者であるとしている。また、同社の環境メッセージの背景にある、オールドグロスの皆伐、遺伝子操作された樹木、そして薬害プランテーションといった環境破壊状況を視覚的に伝えている。
http://www.ran.org/news/newsitem.php?id=1090&area=home
2004/08/12  swissinfo:木材業者が持続可能な木材利用へシフト
スイスで環境団体と業界トップの熱帯材輸入業者が違法伐採削減のための協定を結んだ。将来、同国のドア製造者は持続的な森林管理の行われた木材しか使うことができなくなる。協定は、スイスドア製造組合とグリーンピース、WWFとの間で結ばれた。その条項において、業界は原産国が不明確な木材も購入しないことに任意で同意している。
http://www.swissinfo.org/sen/swissinfo.html?siteSect=105&sid=5093825
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編 集 : 坂本 有希/三柴 淳一
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