| カートカンとは? |
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カートカンは、紙製飲料容器で、英語の「カートン」と「缶」からのネーミング。缶に遜色ない強度を持つ。もともとフィンランドの製紙会社ユナイテッド・ペーパー・ミルズとドイツの容器メーカーのヘラフ社が共同開発したもので、凸版印刷(株)が日本および東南アジアの数ヶ国における独占販売権と、その他東南アジア諸国における優先権を取得していた。
その後、ふたを一体化した独自の技術開発により1995年、現在の円形のものとなり、1996年、ポッカコーポレーションがジュース容器としてカートカンを採用し、販売が始まった。2003年12月現在12社の飲料メーカーに採用され、量販店などで販売されている。
もりかみ協議会専務理事の高村豊広氏によれば、カートカンのセールスポイントは、無菌充填、常温保存ができること。凸版印刷の行った消費者アンケートでも、「味がよい」、「品質保持能力が高い」、「紙製のため飲み口が安全」などといった声が寄せられているとのことだ。 |
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| カートカンと国産材 |
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カートカンは、自動販売機でも販売されるため一定の強度が求められる。それに欠かせないのがN材(注3)と呼ばれる針葉樹からの長繊維で構成される紙で、缶の縁に相当するところに使用することで複雑な加工に耐えうる強度が得られるのだ。これに使われたN材は、国内の人工林から産出された間伐材、製材残材を含む国産材だったのである。これに注目したのが、国内森林整備に手を焼いていた林野庁である。自ら音頭を取り、業界団体をまとめ、「森を育む紙製飲料容器普及協議会(もりかみ協議会)」設立の運びとなった。カートカンは2003年12月に間伐材マークを取得し、国産材振興の旗印となったのである。
注3 N材はドイツ語のNadel Holzの略で針葉樹材を指す。また広葉樹材についてはL材(Laub Holz)と呼ばれる。ちなみに日本の森の約半分は人工的に針葉樹が植林された森である。 |
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| カートカンの製造および原料 |
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カートカンの製造は、日本ユニパックホールディングスのグループ企業の一つ、日本大昭和板紙(株)の芸防(げいぼう)工場にて一手に引き受けている。各種板紙のほか、パルプ製造設備も有しており、カートカン板紙用のパルプも製造している。現在、カートカン板紙の生産能力は150t/日、カートカンの消費量は年間1億本で、現状2〜3億本/年程度が最大生産能力であるという。
原料の内訳を見てみると、国産材(間伐材と製材残材を含む)の比率が30%以上。N材(スギ、マツ)が15%、残る15%は国産L材。そして残りの70%は輸入チップ、およびパルプであり、わずかに輸入のN材が混入することもある。輸入チップ、パルプについて、具体的な原産地名や樹種など、詳細なデータは公表されていない。
なお、原料内訳における国産N材の使用量割合は、カートカンの品質維持のできる限界まで使用されている。その限界とは構造的というよりはむしろ、白色度などといった品質、製造コスト面における限界値であり、それを超えると、白色度維持のための漂白剤の多用、異物混入による歩留まり率の悪化などといった二次障害により製造コストの上昇を招いてしまう。
また、一般的に飲料用容器には食品衛生法第3章第16条などにより使用することはできない。飲料容器は人が直接口をつけるため、蛍光塗料など健康を害する可能性のある物質の混入の恐れがあり、さらに安全面から完全にその出自を把握できないため、古紙材料は使用することができない、と日本大昭和板紙(株)板紙営業本部白板紙第一営業部長の橋本裕氏、同じく白板紙営業部課長の小山正治氏は解説する。 |
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| 国産材利用30%で旗印? |
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もりかみ協議会では、10年後、年間54億本(1人当り週1本消費)の消費量を目標に掲げている。現在、グリーン購入法により間伐材、製材残材等の利用が推奨されるようになったものの、市場品目数は少ない。実現すれば、素晴らしい国産材利用品目の1つとなる。
ただし、現状は年間1億本で特定需要に応えるにとどまっており、もりかみ協議会の活動も端緒についたばかりで、具体的な戦略はこれからである。
一方、カートカン原料の原産地について気になることがある。30%の国産材に関しては、1つの工場においてパルプから用紙まで一括して製造していること、強度維持のためにN材が不可欠なこと、そして産地についてもほぼ明らかにされていることなど申し分ないが、残りの70%については、外国産のチップ、パルプであること以外、明確な回答は得られなかった。
そもそも原料の70%は外国産材であることから、カートカンの普及・啓蒙活動は、たとえ国産材の利用促進を狙ったものにせよ、70%の外国産材をも啓蒙していることになる。製品の品質、原料調達コストなど、様々な要因のもとに決定している原料比ではあるものの、過半数に満たない30%国産材利用製品が旗印では、いささか寂しい限りである。 |
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| 障害となる消費者意識 |
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橋本氏と小山氏に、カートカンにおける国産材の利用率30%を引き上げる可能性について質問したところ、お二人とも異口同音に「真っ白ではなく、少し茶が混じっていても消費者の方々が使ってくれれば可能性はある」と語った。通常の紙コップを含め、製品に求められるのは白さと異物混入防止であるそうだ。たとえば、白色の製品に黒色の繊維や小さな点状の異物が混入してしまうと「髪の毛」や「ごみ」といった指摘を受け返品されるとのこと。強度や衛生面など、製品としては何の問題もないが、潔癖な白色を志向する消費者意識はわずかな異物も茶色も許容しないようである。
製品の白色化に必要なプロセスは漂白であり、技術的にはN材、L材を問わず可能であるものの、樹脂の多いマツや繊維が濃い色のスギなどは、大量の漂白剤や樹脂対策を必要とするため、製造コストや環境負荷に大きく影響する。また、一般的にもIT機器の普及により、上質紙、印刷用紙といった白色度の高い製品が需要の大半を占め、消費者の志向も白色に大幅に傾いており、L材の需要はますます増加している傾向である。 |
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| カートカンの今後の課題と期待 |
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カートカンは牛乳パック同様、他の紙製品へのリサイクルも可能で、間伐材を含む国産材を利用することで森林環境へも配慮しており評価できる製品である。ただし、原料については今後、以下のような改善を期待したい。
100%の国産材使用は技術面、コスト面、そして資源調達の面において、困難であろう。しかし外国産材70%使用で「国産材振興」の旗印とするには、あまりにも説得力に欠けるという印象を受けるため、国産材利用率の向上に強く期待したい。
また、必然的に使用しなければならない外国産L材については、原産地や合法性が明らかで、持続可能な森林経営が信頼のできる第三者機関によって認証された材が使用されるように、調達方針やシステムの改善を期待したい。
他方、政府機関や業界関係者の努力に合わせ、消費者である私たちにも幾つかサポートできることがある。それは、@間伐材や古紙を利用した製品を積極的に選択していくこと、A潔癖な白色志向を見直すこと、など業界のN材利用を後押しできるような行動を取ることである。、日本および世界の森を守るためには、官・民の努力と、市民のサポートが不可欠であろう。 |
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> もりかみ協議会 http://www.morikami.jp/
> 凸版印刷(株) http://www.toppan.co.jp/index_f.html
> 大日本昭和板紙(株) http://www.nichidaiita.co.jp/
> (株)ポッカコーポレーション http://www.pokka.co.jp/index.php |
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