フェアウッドマガジン
第7号
フェアウッドマガジン 第7号 INDEX
1.
フェア・ウッドを進めるには日本の林産業の効率アップも重要(第5回)
今回はエコポイントのお話です。前回で矢森協(矢作川水系森林ボランティア協議会)とログウェルが結んだ協定の中で、国内の林産業の効率化を目指した「エコポイント」による資金面の工夫について説明しました。単なる決済手段でなく、また、単なる地域通貨でもなく、日本の森の整備を数量的に証明する独立した指標となる、「エコポイント」の持つ可能性について具体的に紹介したいと思います。
(ログウェル日本 代表取締役 菅野知之氏)
2.
紙の原料あれこれ
新聞、ノート、プリンタ用紙、本、段ボール、紙箱、包装紙、ティッシュペーパー、紙パック、紙おむつ、カードなど、私たちが日常使用しているたくさんの物に紙が使われています。紙の原料は、主に木材パルプですが、それは一体どこから来ているのでしょうか。普段あまり気に留めない紙の原料について、ちょっと考えてみましょう。
3.
テルネイレス社と森林伐採 〜ロシア極東の森林の動向
2004年5月11日、沿海地方の森林伐採企業の一つであるテルネイレス社の違法行為に関するNGO主催の同時記者会見が開かれた。NGOの批判を集めたのは、テルネイレス社が国による環境アセスメントを行わずに沿海地方の北部アジミ湾港(ゾロトイ岬)に木材保管および積み込み施設の建設を開始し森林伐採していること、また、その森林に対してFSC(Forest Stewardship Council、森林管理協議会)認証取得を求めていることである。
この違法行為の背景とFSC認証の周辺事情という二つの視点からテルネイレス社の最近の動きを追ってみる。
4.
世界のニュース
* TV朝日:「クジラが遊ぶ太古の森」 〜カナダの温帯雨林を守れ〜
* ITTO:TFTの活動がITTOの市民社会/民間部門のプログラムに
* リコーがタスマニア産オールドグロス材ウッドチップ使用停止を表明
* 自民党:違法伐採対策検討チーム、NGOからヒアリング
* 三菱製紙がタスマニア産ウッドチップ購入停止を表明
1.フェア・ウッドを進めるには日本の林産業の効率アップも重要(第5回)
(株)ログウェル日本 代表取締役 菅野知之氏
今回はエコポイントのお話です。前回で矢森協(矢作川水系森林ボランティア協議会)とログウェルが結んだ協定の中で、国内の林産業の効率化を目指した「エコポイント」による資金面の工夫について説明しました。単なる決済手段でなく、また、単なる地域通貨でもなく、日本の森の整備を数量的に証明する独立した指標となる、「エコポイント」の持つ可能性について具体的に紹介したいと思います。
エコポイントとは、間伐材丸太の引き取り代金をエコマネーで表示したもので、通常は円で表示される数字をポイントで読み替えています。例えば、一本500円で丸太を引き取る場合に伐採者であるボランティアなどに500ポイントを発行します。ボランティアは6ヶ月後にこれを現金化することができます。
つまり、丸太代金の支払が6ヶ月後まで先延ばしされるわけですが、この間、丸太は製材、桟積み、乾燥、仕上げなどの工程を経て、3ヶ月後から商品として販売されるので、ちょうど現金化される時期に丸太代金を支払う仕組みとも言えます。
しかし、単に代金支払の先延ばしだけであれば、新たな意味はありません。私たちが狙っている意味は、協定書の第2条(エコポイントの意義)にうたう「地域の林産業育成に投資していくために、間伐材製品の需要者とともに保留しておける」ところがポイントになります。
この説明をするために少し前置きの話をしておかねばなりません。
日本の林産業の生産性が他の先進国に比べて低い要因は2点あると考えています。一つは、丸太の歩留りの問題、もう一つは製材機械の効率の問題です。いずれの問題にも共通する背景として、丸太から柱などの角材を製材したら、残りの背板(丸みのある部分)はチップにしてしまうという製材慣習があります。
1m3の丸太から角材として製材するのは4割以下で、あとはチップになってしまう場合が多いのです。単純化して言いますと、1m3が1万円の丸太に対して1万円の製材コストをかけるという例があります。できる製品は10分の4ですから製品材積は0.4m3となり、その製品原価は2万円÷0.4m3=50,000円/m3となります。製紙用チップ販売で回収したとしてもせいぜい3千円/m3程度ですから製品原価は47,000円/m3です。
この程度の角材と同等の用途でよく使われる欧米産製材品の価格は、販売価格で40,000円程度です。すでに製品原価の段階で欧米産製品より高くなっているわけです。現状チップにしている残り6割のうち3分の1を「いたわり」製品として商品化したとします。
そうすると製品材積は0.6m3となり、製品原価は2万円÷0.6m3=33,333円/m3となり、チップ販売額が減ったとしても欧米製品と同じ価格で販売して7千円の粗利が残ります。
こうした歩留りの悪さは、丸太から柱一本しかとらない慣習と、それ専用に設備された製材機械の能率の問題から来ています。 私たちが進める「いたわり製材」(連載第1回で紹介)は、この歩留りをあげる手段として背板からも板物を製材し、短い板でも商品化して販売することに主眼を置いています。丸太はテーパーになっていますから、元口に近くなれば背板や側板からでも短いけれどもちゃんとした板が製材できます。
このケーススタディからわかることは、林産業の生産性をあげるためのポイントは歩留りの向上にあることと、端的には短い板材が安定的に売れなければならないという点です。
さて、話をエコポイントに戻しましょう。
実は、エコポイントは別の見方をすれば、エコマークに基づいて生産地表示できる丸太の生産数量の証明なのです。
一方、短い板材の安定した需要先のひとつは、産業用木製パレットにあります。近年木製パレットはシェアが減ってはいますが依然パレットの7割以上を占め、年間4,122万枚が生産されています((社)日本パレット協会パレット生産統計(全国推定))。典型的なパレット形状で換算すると板材だけで163万m3の需要です。その木材の多くは実は南洋材が使われています。(フェアウッドマガジンの読者であれば、その問題点は推して知るべしでしょう。)
図1 木製パレットは短い板材の大きな需要先
産業用パレットにエコマーク付き製材を使えば、購入企業はグリーン調達の対象として環境活動にカウントできます。
その価格の一部はエコポイントで換算される丸太の伐採価値=森林を整備した価値として証明することが可能です。従って、環境活動を重視する企業にとっては、パレットをエコマーク付きに切り替えることで環境貢献を証明できるわけです。その数量を証明する指標がエコポイントです。
ここまでくると、エコポイントは単なる決済手段でなく、また、単なる地域通貨でもなく、日本の森の整備を数量的に証明する独立した指標となることがわかります。例えばパレットメーカーにとっては、木製パレットの環境価値を高めるために先行してエコポイントを入手し、パレットの廃棄処理費としてデポジットする(予め販売価格に組み込んで回収を促す)ことも考えられるでしょう。
このデポジットを購入するパレットのメーカーやユーザーにとって、そのメリットは環境価値を表明できることにとどまりません。むしろこのデポジット分のお金は林産業の効率化のための投資とみることができ、製材を主とする林産業の効率があがり、間伐など日本の森の保全が促進されることになります。そこから得られる利益は健全な森林生長と蓄積の維持であり、フェアな木材で生産されたパレットを安定的に使用できるという“配当”が期待できるのです。投資資金の活用先は、製材業の歩留り向上と機械能率向上のための活動と設備投資です。
このように小径丸太の価値をエコポイントとして通常の流通から切り離して保留しておくことで、森林保全の環境価値を独立して流通させるきっかけができるわけです。
私たちは現在、パレットメーカーでありパレットリサイクル業者である地元のフルハシ工業さんとともにこうした仕組みづくりを進めています。
>ログウェル日本
http://www.logw-n.com
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2.紙の原料あれこれ
フェアウッドキャンペーン事務局
新聞、ノート、プリンタ用紙、本、段ボール、紙箱、包装紙、ティッシュペーパー、紙パック、紙おむつ、カードなど、私たちが日常使用しているたくさんの物に紙が使われています。紙の原料は、主に木材パルプですが
(注1)
、それは一体どこから来ているのでしょうか。普段あまり気に留めない紙の原料について、ちょっと考えてみましょう。
注1 ケナフなど非木材を原料とした非木材紙も生産されていますが国内の紙総生産量の0.2%に過ぎません
紙の使用量
日本における国民一人当りの紙の使用量は約240kg/年です。他の国を見てみると、アメリカは314kg/年、インドネシアでは23kg/年、インドでは6kg/年、そして世界平均は54kg/年です。紙の多くは先進諸国で使われていることがわかります。
木材パルプについて
国内を流通する木材パルプについて整理してみると、輸入パルプが9.1%、そして国産木材パルプの原料として、輸入木材チップ、輸入原木からの製材残材、国産材チップ、国産材の製材残材、および古紙となります。国内の紙原料の内訳について図2に示します。図からわかるとおり、現在は古紙利用率が50%を越えています。
図からわかるとおり、現在は古紙利用率が50%を越えています。これは世界的にも高い数値で、国内における熱心な取組みがうかがえます。残り半分の原料については、おおよそ74%が輸入パルプ・チップ、26%が国産材チップ・製材残材、および非木材となっています。それら原料はそれぞれ人工林材60%、天然林材30%、製材残材10%という内訳で、依然として天然林が伐採されています。 その中には、樹齢200〜300年以上のオールドグロスと呼ばれる巨木や、生物多様性に富んだ貴重な原生林の伐採も含まれています。さらに木材生産国(輸出国)の国内法に準じた森林伐採が行われていることは少なく、仮に法に準じていたとしても施業者に有利な生態系を破壊してしまうほどの大面積を丸裸にしてしまう伐採方法(大規模皆伐)を認めている場合があります。
図2 紙の原料構成比 (出所:日本製紙連合会資料)
原料の輸入先
次にどんな国から原料を輸入しているのか見ていきます。原料の木材は大別して針葉樹と広葉樹です。繊維の長い針葉樹は輪転機による印刷など、紙の強度を要求される新聞用紙などに、広葉樹は、印刷・情報用紙などに使われます。それぞれの輸入先について図3に示します。
図より、北米、南米、南洋、豪州と世界各国から輸入していることがわかります。また統計上、別項目ではありますが、原木輸入も多く、主に欧州、北洋から輸入しており、原木の製材残材は紙原料として使われています。
図3 木材チップの輸入先2002年
(出所:日本製紙連合会資料)
国内紙生産の現状
前述のとおり日本の古紙利用率は約60%に達し、世界的にも見ても高い水準にあります。
しかしながら、その内訳を見てみると、段ボールなど「板紙」では90%以上の高い利用率ですが、普通の「紙(洋紙)」では36%程度に留まっています。さらに「紙(洋紙)」の中でも新聞用紙、衛生用紙では古紙利用率は60%を超えていますが、情報用紙では20%、包装用紙にあっては6%と、かなりの偏りがあります(図4)。
図4 紙製品別の古紙利用率 (出所:熱帯林行動ネットワーク)
その要因の一つとして、新聞紙、段ボールは回収ルートが確立し、再び新聞、段ボールとして再生されていますが、上質紙については、回収後ほとんどが再回収困難なティッシュペーパーやトイレットペーパーなど衛生用紙にワンウェイリサイクルされていることが挙げられます。
また古紙利用に技術的な限界があることも、その要因の一つに挙げられます。繊維の強度的に古紙の再生利用は3〜5回が限界であること、衛生紙の回収は困難であることなどから、100%古紙のみによる持続的な紙生産は困難であり、常に新しいパルプ繊維の投入を必要とします。日本製紙連合会による古紙利用率の理論的限界値についての試算でも、印刷・情報用紙42%、紙全体で72.6%と、技術的限界を裏付けています。
紙の製造工程
紙の製造工程を簡単にまとめたものを図5に示します。パルプ製造と古紙再生は別々に行われ、やや工程も異なりますが、どちらも最後に漂白
(注2)
をして抄紙工程に入ります。抄紙工程では、延ばして水分を除いてコーティングをしてカットします。紙製造においては、全工程をとおして大量の水や化学薬品を必要としますので、環境負荷も決して小さくはありません。
注2 紙は漂白度合を白色度で示します。品種によっても違いますが、技術的には古紙100%配合でも漂白剤を多量に使用してバージンパルプ品に近い白色度にすることも可能です。この指標は環境保全を目的に制定されたグリーン購入法の判断基準にもなっていて、例えば、非塗工紙の印刷用紙の場合、白色度は70%程度以下とされています。
図5 紙の製造工程 (出所:日本製紙連合会)
紙生産時のエネルギー消費(CO2排出)
紙生産時のエネルギー使用について、上質紙1トンの製造に伴うCO2排出量をバージンパルプ100%と古紙100%の場合で比較してみると、前者は森林伐採による排出量が多いものの、黒液
(注3)
利用により化石燃料による排出量は大幅に削減されます。一方、後者は森林伐採による排出量はないものの、化石燃料消費による排出量はバージンパルプの約2倍になってしまい、一概に古紙利用が優れているとは言えません(古紙再生促進センター、古紙利用と環境影響に係る調査報告書)。日本製紙業界の資料によれば、現在、紙生産時における総エネルギーの31%は回収黒液によりまかなわれています。
注3 黒液とは、パルプ製造時に排出される黒い廃液のこと
まとめ
以上、簡単に紙原料について見てきましたが、原料の生産地、古紙利用率向上に関する課題、漂白・排水、エネルギー消費など、様々な問題があることがおわかりいただけたと思います。
最近のグリーン購入の流れでは、古紙利用率の向上ばかりが注目されていますが、必ずしも望ましい姿とは言えません。むしろ上級紙においてはバージンパルプを利用する一方、カスケード利用によりトータルで古紙利用率を高めていくことのほうが、より望ましい姿ではないかと思われます。
最も重要なことは、バージン原料調達時の環境や社会への配慮が大切です。古紙利用率が向上しバージン原料利用率は低下したものの、紙製造において欠かせないものであることに変わりありません。有限な森林資源を持続可能な資源として利用していくためには、森林環境をトータルで持続可能にしていかなければならず、まずは原料調達時における品質チェックに併せて、流通経路の透明性、つまり「どの国のどんな管理をされている森のどの樹木が、誰を経由して、消費者まで届くのか」を確保していくことが重要です。
その取組みの一つとして、近年、世界規模で行われている森林認証制度が注目されています。国内においてもわずかながら普及しはじめているものでは、FSC(森林管理協議会)森林認証や「緑の循環」認証会議のSGEC森林認証があります。これらのマークが付いている紙・木材製品が身近になるように、業界の努力のみならず、私たち紙・木材消費者も関心を持つ必要があると思います。
消費者として森林保全に参加する
私たち紙消費者も消費行動を通して森林保全に参加することができます。以下に幾つか挙げてみますと、1)紙自体の使用量を減らすこと(買わない、もらわない)、2)紙製品の原料や古紙利用率について注意深く見ていくこと、3)簡単に紙を使い捨てないこと(分別回収に協力すること)、そして4)白色度の低い紙製品、認証マークのついている製品など、より環境に配慮された紙製品を購入することなどです。さらに一歩踏み込んで、紙に対する興味が沸いてきたら5)紙原料生産現場で起こっている様々な環境問題に関心を持ち、事実を確認することにも取組んでみてください。海外の生産現場で起こっていることとはいえ、決して私たちと無関係とは言えません。
以上のように、個々の私たちにできることは小さいですが、その消費量と原料を海外に大きく依存していることから、それらの問題に対して非常に大きな影響力を持っています。野菜のように「生産者の顔が見える環境にやさしい紙製品」があったらよいと思いませんか?
まずは、現在お使いになっているティッシュペーパーや印刷用紙の品質表示を確認することから始めてみてください。
> 日本製紙連合会−エコプラザ
http://www.jpa.gr.jp/eco/eco_f.html
> 熱帯林行動ネットワーク
http://www.jca.apc.org/jatan/
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3.テルネイレス社と森林伐採 〜ロシア極東の森林の動向
FoE Japan ロシアタイガプロジェクト
2004年5月11日、モスクワとウラジオストク、二つの都市において同時記者会見が開かれた。沿海地方の森林伐採企業の一つ、公開型株式会社
(注4)
テルネイレスの違法行為についての報告である。 この会見を実現したのはグリーンピース・ロシアで、ウラジオストク側には共同で会見を行なったブロック(BROC)のアナトリー・レベデフ氏、モスクワ側には、北方先住民族協会(AKMNS)のパーヴェル・スリャンジガ氏が同席した。また、WWFロシアの代表者なども会見に参加している。
注4 ロシアの株式会社には公開型と閉鎖型とがある。前者は株式を広く一般に公開し、後者は株式を会社内部および関係者にのみ所有を認めるものである。
図6 記者会見の様子
「テルネイレス社の違法行為を摘発し、その証拠資料を提示するための記者会見を行なう」という趣旨の発表があったのは、5月7日のことである。これに対し同日、テルネイレス社側の広報責任者であるエレーナ・ベリャーエワは即座に「ボストク・メディア」を介し反論している。それによるとテルネイレス社は現在、国による環境アセスメントの結果を待っている段階であり、ゾロトイ岬においては、いかなる建設も木材調達も行なっていないという。しかし、グリーンピースとブロックによる報告では、同社の違法建設および伐採の詳細が、ビデオ、写真を用いた映像によって裏付けられている。
会見においてNGO側が強く批判をしたのは大きく2点ある。1点は、木材調達企業であるテルネイレス社が、国による環境アセスメントを行わずに沿海地方の北部に位置するアジミ湾港(ゾロトイ岬)に木材保管および積み込み施設の建設を開始し、採石場が掘られ、既に50haもの森林が伐採されているという事実。ブロックのアナトリー・レベデフ氏の指摘では、その違法行為は既に2年間にも及んでいるという。もう一点は、そのような事実がありながらも、同社が伐採を行なっている森林に対してFSC(Forest Stewardship Council、森林管理協議会)認証取得を申請いることである。
以下に、この違法行為の背景とFSC認証の周辺事情という二つの視点からテルネイレス社の最近の動きを追ってみる。
FSC森林認証
2004年4月16日付けで、ロシアの情報サイトEHO-DVに「テルネイレス社が自社の借地の森林管理に対するFSC規格適合の認証を申請している」という記事が掲載された。それによると、同社の借地面積は全体で140万haに及び、その全てが認証された場合、ロシアにおけるFSC認証面積は約2倍になるという。 この認証審査は、2002年11月に同社が申請をした時と同じく、SGS Vostok Ltdによりこの6月に行なわれる予定である。この審査により認証された場合、アジア市場用のロシア木材が認証を受ける初めてのケースとなる。アジア市場における同社最大の買い手は、日本の住友商事であり、株式保有割合としてはテルネイレス社の総支配人であるウラジミル・シチェルバコフ氏の(28.6%)についで第2位(10.8%)を占める。
これまでのロシアの森林全体におけるFSC認証の状況は、2003年11月1日までに7区画、総面積にして延べ140万haである。また2004年5月17日付けのWWF・ロシアの報道によれば、2004年5月14日、新たに1区画(4万9000ha)が加わり8区画となっている。5月5日、WWFの後援で設立された環境に配慮した責任ある木材業者組合の行なった年次報告会では、FSC森林認証審査員を育成するためのセミナーも催された。
出席した諸企業は、将来的にFSCが要求する高い水準に沿うことを目ざす、という発表からも窺い知れるように、ロシアにおけるFSC認証の重要度は高くなってきている。テルネイレス社は現在この協会への入会を交渉中である。
テルネイレス社は、このFSC認証申請に先立ち4月初旬に自社主催のセミナーを行い、環境優先性をその活動の中心に据えることを発表。4月12日には、同社に対し、先住少数民族の権利および国際規準に沿った森林利用の推奨が決議された、ウラジオストクにおける北方先住民族協会主催の題目「沿海地方・北方先住少数民族:発展の展望と社会的連携」という円卓会議にも出席している。
今回報告された違法行為の背景
国際的基準および環境的優先性を考慮にいれた、上記のようなテルネイレス社の活動と、今回の報道内容との大きな相違点を理解するには、ロシア国家による環境アセスメント、および立法というファクターを考慮する必要がある。
テルネイレス社がこの地域の森林借用権を地方政府から入手したのは、3年前の2001年に溯り、借用期限は25年間、面積は64万1000haに及ぶ。ただしこの借用権を実際に行使して森林を伐採する際は、国家による環境アセスメントの実施が義務づけられており、その実施に当たっては「地元住民との合意締結」が必須条件とされている。
4月22日付けのVOSTOK-MEDIAの報道によると、4月20日、ニュータウン・プラストゥンで行なわれた沿海地方テルネイ地区サマルガ村の労働者集団の代表者たちと、公開型株式会社テルネイレスの指導部との会合において、サマルガ流域における村落住民と同社との共同活動に関する合意締結がなされている。IWGIAのオリガ・ムラシュコによると、この住民との合意がもたらすもう一つのものは、欧州開発銀行からの融資であるらしい。
貧困に苦しむサマルガ川流域、アグズ村の住民との間で交された約束で、テルネイレス社は、ゾロトイ(アジミ)岬−サマルガ間の自動車道の再建と維持における援助と、ヘリコプター発着場の整備の他、住民への生活必需品、食料品、燃料の輸送といった物質的援助を示唆している。
このような手続きを踏むことにより、テルネイレス社は先住少数民族が居住する原生林を合法的に伐採し、それを浴A路で日本海に面した港へ運搬する法的権利を手にしたということがいえる。
ソビエト連邦崩壊後に急速に悪化した、先住少数民族の居住地における経済状況を改善するには、テルネイレス社が行なっているような経済的傾向を受け入れるしかないのであろうか?おそらくその行先を決するのは、先住民族、伐採企業、世論の相互関係、およびそれに及ぼされるロシア連邦法の影響であろう。
ロシアのNGO諸団体により行われた今回の会見の主眼は、先住少数民族の先住少数民族としての権利、および生物多様性を残す原生林における生態系の保護へと向けられている。これを保証するための法律制定が今後の課題となるであろう。具体的には、先住民の生活および森林の経済的利用権を保障するTTP(伝統的自然利用テリトリー)と、森林および動物の生態系を保護するOOPT(特別保護自然テリトリー)の認定、加えてそれらと深い関連をもち、現在政府によって検討されている新森林法典の制定のなどが挙げられる。
> グリーンピース・インターナショナル
http://www.greenpeace.org/international_en/
> WWFインターナショナル
http://www.panda.org/
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ニュース記事リンク
2004/06/10 ITTO:TFTの活動がITTOの市民社会/民間部門のプログラムに
スイスのNGO、Tropical Forest Trust(TFT)とインドネシアの伐採会社PT Hutanindoとのパートナーシップ活動が、ITTOの革新的な援助プログラムに選ばれた。その資金45,000米ドルは、PT Hutanindo伐採許可地における伐採チームに対し、伐採負荷を軽減する方法の指導と、森林管理計画の改善に必要な技術協力とに用いられる。
http://www.itto.or.jp/live/PageDisplayHandler?pageId=217&id=717
2004/06/06 TV朝日:「クジラが遊ぶ太古の森」 〜カナダの温帯雨林を守れ〜
カナダの西海岸、バンクーバー島。中央部には世界でも希少な温帯雨林が広がります。暖かい黒潮が生みだした霧が大量の雨を降らせ、コケや地衣類に覆われた高さ100mにも及ぶ巨木が群生しています。一方、カナダではいまだに、木材の9割が原生林から切り出されていて、バンクーバー島の原生林も既に75%が伐採され、多くは日本へ送られています。 そんななか先住民族・トラキアット族の子孫、ジョーさんが反対運動に立ち上がりました(素敵な宇宙船地球号)。
http://www.tv-asahi.co.jp/earth/midokoro/2004/20040606/index.html
2004/5/28 ABC NEWS ONLINE:
リコーがタスマニア産オールドグロス材ウッドチップ使用停止を表明
グリーンピースと環境団体ウィルダーネスソサエティーは、日本企業リコーがタスマニア原生林からのウッドチップを使った紙を使用しないと表明したことを発表した。ウィルダーネスソサエティーのキャンペーンディレクターによれば、リコーは今年4社目の「タスマニア原生林の木材を使用しない」と表明した日本企業となる。
http://www.abc.net.au/news/newsitems/s1118543.htm
2004/05/28 自民党:違法伐採対策検討チーム、NGOからヒアリング
自由民主党、衆参議員からなる「世界規模の森林の違法・不法な伐採及び輸出入等から地球環境を守るための対策検討チーム」は28日、違法伐採の現状などについて非政府組織(NGO)からのヒアリングを行った。
http://www.jimin.jp/jimin/daily/04_05/28/160528a.shtml
2004/05/19 The Age:三菱製紙がタスマニア産ウッドチップ購入停止を表明
グリーンピースなど環境保護団体は、彼らのタスマニアの原生林伐採中止のキャンペーンを受けて、三菱製紙が原生林からのチップの購入を止め、植林材等の持続可能材からのチップ購入に変更すると連絡があったと発表した。最大の需要者である日本製紙もこの決定をフォローすることになると期待されている。
http://www.theage.com.au/articles/2004/05/18/1084783512011.html
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発 行 : フェアウッドキャンペーン事務局
http://www.fairwood.jp
編 集 : 坂本 有希/中澤 健一