フェアウッドマガジン
フェアウッドマガジン
創刊号
 
www.fairwood.jpフェア-な木材を使おう 
フェアウッドマガジン 創刊号 INDEX
1.熱帯林の20年と日本の緑の消費者の実力〜フェアウッドキャンペーンに期待する
80年代のはじめにFAOが世界中の熱帯林の減少速度に関する調査報告をしたのをきっかけに熱帯林問題が地球環境問題といわれるようになってから、20年の時間が経過しました。この間私は80年代に林野庁の国際協力班や貿易班の担当課長補佐に携わり、90年代になってからもモントリオールプロセスの担当をするなど、国の立場で国際的な森林問題を取り扱う仕事をしてきました。この20年ほどを概観しながら、その中でフェアウッドキャンペーンにエールを送ります。(森林総合研究所 藤原 敬 氏)
2.森の見える家造り〜森林認証で林業経営がどう変わったか?
 自由貿易の中で日本は現在も世界中から品物を買いあさり、木材はその象徴的な品物で、以前から日本の木材輸入は一部で無秩序な森林伐採を引き起こしています。木材は本来地球に優しい物質ですが、その生産された森林が貴重な天然林であったり、再び植林をしない管理が前提であったりする森林からの木材であれば、決して地球に優しい材料にはなりません。このような問題を民間レベルで解決しようとする活動がFSC認証です。私の経営する速水林業の森林は2000年の2月にこのFSC認証を取得しました。(速水林業 速水 亨 氏)
3.グリーン購入で違法伐採材を排除できるか (第1回 グリーン購入法とは何か?)
 違法伐採対策を日本国内で有効に進めていく1つの方法として、グリーン購入という取り組みが注目されています。環境に配慮した購買/調達をすすめる企業や団体が集まった「グリーン購入法ネットワーク(GPN)」事務局長の佐藤博之さんに3回にわたって、グリーン購入で違法伐採木材をどこまで少なくできるのか、その可能性について、お書きいただきます。
4.アジア フォレスト パートナーシップ(AFP)に期待する
AFPはいまだにその組織、活動内容とも、関係者の合意に至ってない段階なので、日本の中の森林/林業関係者も知らない人が多いかと思います。本稿では、NGO側から見た現状推移を報告するとともに、皆様のご意見やインプットを期待いたします。(FoE Japan代表理事 岡崎 時春)
5.世界のニュース
* 2002年木材輸入実績について
* 違法伐採と闘うNGO
* 伐採者VS見えない部族〜アマゾンでの密かな戦い
* ブラウン大学の学生が大学に対してBoise Cascade社との紙の購買契約を更新しないよう要求
* インドネシアが300万haの土地の植林を計画
* 英国で過去最大量の違法木材が押収される
 
1.熱帯林の20年と日本の緑の消費者の実力〜フェアウッドキャンペーンに期待する
 
森林総合研究所 藤原 敬 氏
はじめに
80年代のはじめにFAOが世界中の熱帯林の減少速度に関する調査報告をしたのをきっかけに熱帯林問題が地球環境問題といわれるようになってから、20年の時間が経過しました。この間私は80年代に林野庁の国際協力班や貿易班の担当課長補佐に携わり、90年代になってからもモントリオールプロセス(温帯林等の持続可能な森林経営の基準指標の開発作業)の担当をするなど、国の立場で国際的な森林問題を取り扱う仕事をしてきました。この20年ほどを概観しながら、その中でフェアウッドキャンペーンにエールを送ります。
地球環境問題としての熱帯林(はじめの10年)
図1 国際的な「持続可能な森林経営」の取組み
図1 国際的な「持続可能な森林経営」の取組み

図1が、地球環境問題となった森林問題の20年の概要です。
縦軸が時間の流れですが、この図のポイントは横軸に、左は政府の活動、右は民間の活動と、分けて見たことです。

私自身は左側に身をおき「多くの国の森林が国や州などの公的な所有になっていることから分かるように、森林の管理をするのは政府機関の仕事、責任であり、熱帯林管理の仕事にしても途上国の努力を先進国が支援して解決をしてゆくしか道はない。」そんな思いでけっこう熱心に取り組んでいました。それはどこの国でも同じで、図にあるように80年代には政府機関である国連食糧農業機構(FAO)がイニシアティブを取り世界中が「熱帯林行動計画行動」というものに取り組みました。世界120カ国の熱帯林保有国の内75カ国が参画するなど、政府間共同したイニシアティブにより解決の道が探られました。ただし、熱帯林の減少は加速しているという資源調査の結果が90年代のはじめにでて、この計画に対する批判が噴出しました。

その一つが図に右側の民間主導による熱帯木材のボイコット運動です。87年英国の国際的な環境NGOである「地球の友」が熱帯木材のボイコットを呼びかけたのを皮切りに、80年代の後半から90年代の前半にかけて地方自治体、欧州議会を巻き込み急速に広がり、92年にはオーストリアが熱帯木材製品に対するラベル義務づけという立法措置を執るという事態に発展しました。

(※5月配信のメールマガジン創刊号にて、文中「オーストラリア」と記述されていましたが、「オーストリア」の誤りです。訂正とお詫びを申し上げます。)

92年の地球サミットを前に繰り広げられたボイコット運動は、しかし、徹底的な批判を浴びました。何故熱帯木材だけがターゲットになるのか?また、ボイコットは熱帯林の価値を引き下げ、森林を農地やその他の土地に転換するインセンティブを与えることになる。どちらも説得力のある批判で、地球サミットで決議された森林原則声明の第14原則は明示的に一方的な林産物のボイコットを「除去ないし回避すべきも」のとしています。
以上が、図のちょうど真ん中で区切りとなっている地球サミットの時点状況です。
地球サミット後の元気な活動
地球サミット以降の森林への取組の中で、政府が行う一番重要な「森林条約を作る」という課題は、うまく進んでいないのが現状です。地球サミット以降どんな動きが活発になっているかといえば、政府の活動では京都議定書よって吸収源としての森林の役割について脚光を浴びるようになったことです。これで、熱帯林にたいする先進国や企業からの投資が画期的に進む可能性が出てきました。もう一つ元気なのは、右側の民間活動の森林認証ラベリングです。このところ急に認証面積が広がり、世界中で3%程度の森林が認証されている状況です。日本の森林でいうと、秋田県の森林がすべて認証されているという比率になります。

私は外から見ていた側ですが、民間の活動の熱帯林のボイコットから森林認証への舵取りというのはすばらしい転換だったと思います。どちらにも共通するのは、先進国の消費者の環境指向が、産地国の森林の管理の水準に影響を与えるのだ、という信念にもとづくものですが、ボイコット運動に対する批判を受け止めた見事な再構築です。そして、図1に示す期間の全体を動かす原動力は、批判を受けたボイコット運動も含めた民間の力がになっていたといってもよいかもしれません。(もちろん政府の動きも民間の動きに力を借りて動いてゆくという関係になっているわけですが。)
日本の緑の消費者の実力度
さて、先進国の消費者の環境指向の話ですが、私は欧米の消費者と日本の消費者のパワーを比較してみようとして、ちょっとしたデータ分析をしてみました。世界中で貿易されている林産物は北米、欧州、極東(日本中国)という三つの市場で7割が消費されています。そして、世界の林産物産出国/地域を、その輸出先別に、北米輸出依存型、極東輸出依存型、欧州輸出依存型の三つのタイプに分けて、それぞれの森林の面積や認証の状況を比較してみたのです。その結果の概要を今年の春の日本林学会で発表しました。概要は図2の通りです。

極東依存国は全体の20%になりますが、これらの国の認証森林面積は0.7%にしかならないというものです。日本の緑の消費者のパワー不足が露呈しています。「日本を含む極東への輸出依存度が高い国は、欧米へ依存している国より森林管理の質が劣っている可能性があり、極東地域の緑の消費者の成熟度合いが、国際的な森林管理の質を底上げする鍵を握っている。」と指摘しました。
フェアウッドキャンペーンに大いに期待するものです。
図2 主要輸出先別依存国の認証森林
図2 主要輸出先別依存国の認証森林

参考文献データ

  • 太田宏、毛利勝彦編著、「持続可能な地球環境を未来へ」―リオからヨハネスブルグまで、大学教育出版、(小生も分担執筆しています)
  • 「持続可能な森林経営のための勉強部屋」
    http://homepage2.nifty.com/fujiwara_studyroom/index.html
 
2. 森林認証で林業経営がどう変わったか?〜国内最初の認証取得森林
速水林業 速水 亨 氏
現代の生活は極めて安楽で、我々の快適さへの要求は際限がないように見えます。しかし今は限られた地球資源をその自覚が無いままに求め続けている自分たちの生活を本来の豊かさと言って良いかを考える時期が来ています。悲観的に見ればすでに遅すぎるのかもしれませんが、我々は常にあきらめずに状況を好転させる努力を続ける必要があります。

自由貿易の中で日本は現在も世界中から品物を買いあさり、木材はその象徴的な品物で、以前から日本の木材輸入は一部で無秩序な森林伐採を引き起こしています。フィリピンはラワンのすばらしい森林を持っていましたが、日本の需要を満たす伐採を続けた結果、今では木材輸入国になっています。木材を伐採したことで今のフィリピンの森林地帯は貧困を脱皮したか、現状を見れば答えは明らかです。しかし、今でも日本の消費者は購入している木材が、社会的影響を配慮した生産を行っているかどうかなど知るよしもなく使っています。

世界中の木材使用の約半分は生命の維持に必要な燃料に使われています。森林の破壊は森林に依存している人々の生存を脅かすことになるのです。日本に輸入される木材は世界の木材貿易量の内20数%を占め、非常に大きな割合となります。木材は本来地球に優しい物質ですが、その生産された森林が貴重な天然林であったり、再び植林をしない管理が前提であったりする森林からの木材であれば、決して地球に優しい材料にはなりません。

これらのことを考えると、少なくとも国内の現在ある人工林の木材を有効に利用し、木材輸入量を少しでも減らして行く必要があります。WTOでも自由貿易の前提には環境、森林、労働政策等が適切に機能していることが必要であると言われています。木材貿易はより自由になりましたが、各国の森林に関わる政策は残念ながら全てが適切とは言えません。
このような問題を民間レベルで解決しようとする活動がFSC認証(Forest Stewardship Council)です。ドイツのボンに本部を置く国際的なNGOであり、適切に管理された森林を審査認証し、そこから生産された木材などを他の木材と混じらないように加工流通までも認証することで、FSCラベルの商品を購入すればその消費は適切な森林管理を支持することにつながる活動です。

私の経営する速水林業の森林は2000年の2月にこのFSC認証を取得しました。FSC認証取得後は、今までの販売ルートと全く違う方々から問い合わせを頂くことが多く、その上、私どものヒノキの高齢良質材が、他のヒノキ材と比較してなぜ高いかを理解して頂ける方が多くなりました。このような方々は新しい価値観を持って木材に接しているということが判ります。当然こちらもそれらの期待に応えた上に、価格に見合う物を提供する必要があります。
よく手入れされた速水林業の森
図3 よく手入れされた速水林業の森
認証は現時点では特にプレミアムがつくことは無いのですが、新しい市場への参入機会を獲得する大変有効な武器となります。また、認証を取得した森林管理技術を高く評価して頂くこともあり、今後このような森林管理ノウハウの提供という新しい分野が出来るかもしれません。内部の問題としては従業員の環境意識の高まる切っ掛けになりますが、これは単に認証だけの問題ではなく、常に倫理的な行動を要求する必要はあります。

最も嬉しいことは住宅の新築や増改築、マンションの内装など施主から直接指定があったり、相談頂いたりすることです。また、林業関係者以外の人々が森林を訪れて頂くことが多くなりました。以前から年に1000人近くの見学者が訪れていましたが、最近では環境意識の高い消費者の方々が森林を直接見て、建築材を決めるという事も増えて参りました。 さて、国産材は高いと言う話が多いのですが、決してそんなことはありません。たとえば10.5cmの四角で長さ3mのスギの乾燥した柱は1本1,900円、ヒノキで3,000円、スギの集成材で2,200円、それに比較して欧州産のホワイトウッドの集成材で2,200円です。

家は一坪で1.5本から1.7本の柱を使いますから、35坪の家で多くても60本です。柱をスギに変えても安くなることはあっても、間違っても50万や100万円高くなることは無いのです。しかし住宅メーカーにとってはほんのわずかな差額や加工し易さが重要で、国産材を使いたいという施主がいても、それに対応しない事が多く、住まいを求める立場とは少々異なった判断が働いています。

もう一つ家を建てる方々にお知らせしたいことは、輸入材の材木名と本来の木の名前、そして木の性質が判らないままに使われることがあると言うことです。国産材の呼び名は、スギ、ヒノキ、マツ、カラマツなど単純で、使う場合も概ね木の性質を理解して使っています。ところが輸入材の場合は丸太の輸入が盛んだった頃、ダグラスファーは丸太の樹皮や材の表面がマツに似ていて米国から来るのでマツでベイマツ、ヘムロックは栂に似ているからベイツガでした。製品で輸入される様になると木の表面が白いからホワイトウッド、赤いからレッドウッドと呼ばれ、SPF材はなんと3種類以上の樹種をまとめて呼んでいます。困るのは建築に関わる人がこれらの関係を知る機会がないままに、性質を理解しないで値段や形状、色などで使い道を決めていくことがあるのです。

このような状況は、施主にとっては不幸ですが、それと共に使う木材とその木材が伐られた森林との関係を遠くしてしまう要因にもなっていると思います。

今後は「森の見える家造り」が大事になってきていると思いませんか?

速水林業WEBサイト http://www.chiiki-kankyo.net/hayami/
 
3. グリーン購入で違法伐採材を排除できるか (第1回 グリーン購入法とは何か?)
 
グリーン購入ネットワーク(GPN)事務局長 佐藤 博之 氏

違法伐採対策を日本国内で有効に進めていく1つの方法として、グリーン購入という取り組みが注目されています。環境に配慮した購買/調達をすすめる企業や団体が集まった「グリーン購入法ネットワーク(GPN)」事務局長の佐藤博之さんに3回にわたって、グリーン購入で違法伐採木材をどこまで少なくできるのか、その可能性について、お書きいただきます。

はじめに
違法伐採による森林破壊をどうしたら止められるのだろうか。その解決の大きなカギを消費者、購入者が握っている。私たちは知らないうちに、あるいは薄々気づいていながら違法伐採の可能性がある木材を購入し、使っているのが実態だろう。購入側が違法伐採材に「NO!」と言い、疑いがある木材を排除することができれば、確実に違法伐採は減少に向かうだろう。

グリーン購入とは、このように購入側のBuying Powerを活かして、供給側企業に環境に配慮した経営や生産を促す取り組みである。特に、政府、地方自治体、企業など大口の組織購入者が果たす役割はきわめて大きい。日本の最終消費支出に占める行政機関の支出は17%を占めている。

日本におけるグリーン購入の取り組みは、グリーン購入ネットワーク(GPN)が設立された96年前後から急速に広がってきたが、法的環境を整備することで特に行政の取り組みを加速することを意図し、2000年に「国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律」通称「グリーン購入法」が制定され、01年4月から全面施行された。
グリーン購入法のあらまし

グリーン購入法は国の全ての機関にグリーン購入の実践を義務付けている。霞ヶ関だけでなく地方の出先機関や特殊法人、規模の大きい郵政公社や自衛隊なども義務の対象となる。各機関は毎年度「調達方針」を作成、公表し、それにもとづいてグリーン購入を実践し、調達実績を報告、公表することが義務づけられた。

全国の地方自治体にもグリーン購入の「努力義務」が課せられた。地方分権の流れも考慮されて国の機関より義務が弱いが、毎年グリーン購入の方針を作成して取り組むよう努めることとされ、国に準じてグリーン購入の率先実行が求められていることに違いはない。

国は法律に基づいて毎年「基本方針」を策定することになっている。この中で重要なのが「特定調達品目」である。ここで指定された品目については、判断基準や調達目標の立て方が決められ、国の機関はこの品目をグリーン購入することが義務付けられる。

現在の基本方針では、紙、文具、オフィス家具、家電製品、OA機器、照明、自動車、制服、インテリア、公共事業などの174品目が指定されている。各品目については判断基準が決められており、例えば紙類については古紙配合率や白色度、OA機器や家電製品では省エネ性、制服や資材では再生材料の利用率などが基準に設定されている。

グリーン購入法での木材の扱われ方

特定調達品目には木材に関係する製品も含まれている。紙、文具、オフィス家具、公共工事の中の小径丸太材などである。現在の判断基準では、「間伐材等の木材が使用されていること」(オフィス家具)、「間伐材であって、有害な腐れまたは割れ等の欠陥がないこと」とされており、紙では古紙利用や白色度が基準に入っている。この基準の背景としては、日本では廃棄物問題への関心が高く、リサイクルに政策的なプライオリティがおかれてきたこと、日本の山林を守り育てるという観点から間伐材の利用が広く推進されてきたこと、などが挙げられるだろう。

森林伐採について個別の判断基準には含まれていないが、基本方針の中では「地球温暖化、大気汚染、水質汚濁、生物多様性の減少、廃棄物の増大等の多岐にわたる環境負荷項目をできる限り包括的にとらえ、かつ、可能な限り、資源の採取から廃棄に至る、物品等のライフサイクル全体についての環境負荷の低減を考慮した物品等を選択する必要がある。」との記述がある。一般論としては森林伐採や生物多様性についても考慮して購入すべきということだ。個別の判断基準はあくまでも「ひとつの目安」であり、各行政機関が「上乗せ」や「横出し」の追加基準をつくることは自由なので、違法伐採を排除する基準をつくることも"可能"である。ただ、その基準の設定方法と検証方法が難しい課題となるだろう。

グリーン購入ネットワークWEBサイト http://www.gpn.jp
 
4.アジア フォレスト パートナーシップ(AFP)に期待する
 
FoE Japan代表理事 岡崎 時春
AFPはいまだにその組織、活動内容とも、関係者の合意に至ってない段階なので、日本の中の森林/林業関係者も知らない人が多いかと思います。本稿では、NGO側から見た現状推移を報告するとともに、皆様のご意見やインプットを期待いたします。なぜなら、この「パートナーシップ」と言う考えが、多数の「ステイクホルダー」(利害関係者)から成るパートナーシップにより問題解決を図ろうと言う、WSSDヨハネスブルグ/サミット前後に導入された枠組みであり、大きく括れば、政府と企業とNGOの3者がパートナーを組んで事に当ろうと言うもので、市民社会の参加が重要なポイントになっているからです。
違法伐採に取組む、政府レベルの幾つかの動きとAFPの関係
世界中の森林NGOのアピールに呼応して、政府レベルではG8ケルン サミット(1999)で初めてこの問題を取上げ、G8の各国政府がそれぞれ個別に対応することが求められました。英国政府はこれに最も早く取組み、現在インドネシアで具体的行動に入ろうとしています。日本は木材輸入大国でアジアに位置するが故に、最も多くの違法伐採材が輸入されているにも拘わらず、政府の対応は進んでいるとは言い難い状況です。G8の取り組みは、昨年のカナダ カナナスキスの首脳会議で「森林行動プログラム最終報告書」を承認して、一段落しています。

国際連合の関係では、国連環境計画(UNEP)や国連食料農業機関(FAO)の関連機関である国連森林フォーラム(UNFF 前身はIPF/IFF)で違法伐採を扱おうとしましたが、余りに参加国の数が多く、持続可能な森林管理すらまともに進展してない状況下で如何ともしがたい状況です。かろうじて上述のWSSDヨハネスブルグ サミットの「世界実施計画」において「森林法規の実行」「林産物貿易への対処」と言う文言が挿入されました。これと並行するWSSDサミットの採択文章である「タイプII パートナーシップ イニシアティブ リスト」に、日本提案案件の1つとしてAFPが入ったのです。

更に地域レベルの政府間会合「森林法の施行に関する東アジア閣僚会合(2001年9月)」(FLEG East Asia)でもこの問題が取上げられました。これを先ずフォローしたのが、熱帯林/木材貿易を扱う国際熱帯木材機関(ITTO)であり、2002年11月の理事会において具体的な行動を開始することが決定され、予算の裏付けもなされました。AFPもインドネシアの賛同を得て、2002年11月に東京で第1回実施促進会合に漕ぎ着けました。この時点ではまだ参加国が多いとは言えませんでした。FoE Japanの活動地域であり、大きな違法伐採問題を抱えている極東ロシアは依然としてオブザーバー参加です。木材の違法国境移動を抱える中国とマレーシアはAFPへの参加は表明していますが、具体的な施策、行動は未だ白紙の状況です。

2国間政府合意については、英国-インドネシア間のMOU(覚書)が1年前に出来ましたが、日本-インドネシア政府間でMOUに相当する「Joint Announcement」なるものが、数ヶ月中に締結予定と聞きます。これは日本政府の資金、技術協力のもとで、インドネシア側での違法伐採対策の実施が主たる内容になりますが、現地のNGOの参加が重要な要素になるので、日本のNGOも注目している所です。

AFPの枠組み
AFPは前述の通り、WSSDヨハネスブルグサミットの準備会合の中から「パートナーシップ イニシアティブ」の日本政府提案案件の目玉として急浮上してきたように見えます。従ってパートナーシップとは云いながら、WSSDヨハネスブルグサミット時点ではNGOとの接触もないままスタートしました。昨年11月の準備会合でNGOの意見を求め、それ以降TNC(TheNature Conservancy)をNGOメンバーとして入れて、枠組みの企画 立案に至っています(TNCは米国にベースを置く国際NGOであるが、性格的には調査研究主体のシンクタンクに近い)。

現在、インドネシア林業局、日本政府、CIFOR(国際林業研究センター在インドネシア)、TNCの4者が、組織や活動方針、内容を策定中です。ドラフト段階のものをインドネシア-日本のNGOにも開示しました。6月末に第2回実施促進会合が予定されており、ここでの提案、審議、承認が期待されますが、財源問題が必ずしも確定してないため、実施促進まで進まず、大枠合意で終わる可能性も大きいかと察します。

NGO側が懸念していることは、AFPが情報の共有/調査/教育が中心になり、現実の違法伐採対策としては「空振り」になってしまうことです。或いは違法伐採対策と言いながら、森林火災防除に関わる「箱もの」援助や産業植林の幇助に繋がってしまうことです。或いは違法伐採対策が、森林/林業に依存する地域住民や少数民族に過大な規制の枠が及ぶことです。インドネシアでの違法伐採は、森林局/林業管理官僚と林業界/木材業者の間の利権や許認可構造に由来するものが大きいと我々は考えています。インドネシアにおいて、政府にも業界にも属さない、森林資源と地域住民の側に立つ現地NGOのAFPへの参加が、その参加の形態と共に、注目される所です。その上で日本のNGOの参加を考えたいと思っています。

我々はAFPの実効ある枠組み作りに期待する中でのもう1つの関心は、前述のFLEG East Asiaが世界銀行のイニシャティブと米国政府の資金支援で先に動き出していることです。ここには現地のNGOと、日本など木材輸入国のNGOも参加して「Advisory Group」が設置され、NGOのアドバイスが世界銀行やWWFなどの実施機関の活動に反映されようとしていることです。NGOアドバイザーを交えた初めてのFLEGの会合が2月末にインドネシアで行なわれました。FLEGとAFPの役割分担や協業にも我々は注目したいと思います。
AFPの組織や活動方針はもう少し固まった段階でフェアーウッドキャンペーンのWEBサイトに掲載する予定です。

外務省のWEBサイト
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kankyo/afp/index.html

 
ニュース記事リンク
2003/04/04 林野庁:2002年木材輸入実績について
2002 年の我が国の木材輸入額は、約1 兆1 千5 百億円(前年比96 %)となった。主要輸入先別(輸入額上位10 カ国)の円ベースでは、前年に比べ、中国、オーストラリア、南アフリカは増加し、カナダ、アメリカ、ロシア、ニュージーランド、チリは減少した。
http://www.rinya.maff.go.jp/puresu/h15-4gatu/0404mokuzai.pdf
2003/03/20 The Jakarta Post.com:違法伐採と闘うNGO
インドネシア国内でいくつかのNGOが違法伐採問題に対する啓発キャンペーンを始めた。「このキャンペーンは社会現象としてさらに発展する様にならないといけない、なぜならば私達は政府が違法伐採者に対して法的に対処をすると期待するだけでは間に合わないからだ。」
http://www.thejakartapost.com/yesterdaydetail.asp?fileid=20030320.C02
2003/03/12 National Geographic:伐採者VS見えない部族〜アマゾンでの密かな戦い
東南ペルーに地域固有の先住民が保護地域で生活しているが、そこにあるマホーガニーを違法伐採している伐採者が侵入している。先住民と伐採者との接触は武力的なものにも発展していて、また違法伐採の問題も注目されている。
http://news.nationalgeographic.com/news/2003/03/0312_030312_invisible3.html
2003/03/11 Rainforest Action Network:ブラウン大学の学生が大学に対してBoise Cascade社との紙の購買契約を更新しないよう要求
ブラウン大学の学生議会はBoiseCascade社(木材/紙パ)との契約更新をしないよう決議した。BoiseCascade社が他のライバル企業と異なり、存続に危機のある森林の伐採を続けているなどの活動をしている事が多くの大学等で非難され、今もアメリカ国内の15の大学でも契約更新をしない様にキャンペーンが行なわれている。
http://www.ran.org/news/newsitem.php?id=643&area=home
2003/03/04 Relif Web:インドネシアが300万haの土地の植林を計画
伐採によって起こりうる洪水や地滑りなどの自然災害を防止するため、インドネシア政府は5年かけて広範囲に渡って植林をする計画である。近年の洪水や土砂災害が、違法伐採や多くの開発による森林破壊が原因だと見られている。
http://www.reliefweb.int
2003/02/27 EIA:英国で過去最大量の違法木材が押収される
税関当局によって押収された木材は大量の額縁となって輸入されたラミンである。ラミンはインドネシアやマレーシアで絶滅危惧種になっている。EIAは、英国で過去最大量の違法木材が押収された事を歓迎するが、これは氷山の一角に過ぎず、国内に流入してくる大量の違法伐採木材や違法な木材製品の流れを止めるために新法律の設立の必要性を訴える。
http://209.68.34.145/eia/cgi/news/news.cgi?a=125&t=template.htm
その他のニュース記事は http://www.fairwood.jpでご覧いただけます。
 
 
*このメールは、フェアウッドマガジンの配信登録をされた方にお送りしています。
*このメールは、HTML形式で作成されています。
Outlook Express / Microsoft Outlook / Netscape Messenger / Becky!
などのHTMLメール対応のメールソフトで正しく表示されます。
*みなさんの知人、友人、ご家族の方にもこのメールマガジンをお知らせしてください。メールマガジンの登録/解除、バックナンバーはこちらです。
http://www.fairwood.jp/mag.html
*本メールマガジンの記事について、無断転載はご遠慮ください。
ただし、転載許可の表記のある場合を除きます。
*本メールマガジンに関するご意見、ご感想などは下記のEmailにお寄せください。
お待ちしております。e-mail: fairwood@fairwood.jp
*本メールマガジンは環境事業団地球環境基金の助成により発行されています。
  
 発 行 : フェアウッドキャンペーン事務局 http://www.fairwood.jp
編 集 : 坂本 有希/中澤 健一
 
(c) 2002 FoE Japan.All RIghts Reserved.