フェアウッドマガジン
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第15号
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フェアウッドマガジン 第15号 INDEX December 2005
1. ロシアの違法伐採対策会議、サンクトペテルブルグ閣僚宣言を採択
      〜秩序ある森林管理のため輸出国・輸入国政府は速やかに行動を!〜
先月11月22日〜25日にロシアのサンクトペテルブルグでENA FLEG閣僚会議が開催されました。市民団体として参加したFoE Japan森林sプログラムの中澤健一氏に会議の背景や問題点について説明いただきます。(国際環境NGO FoE Japan 森林プログラム 中澤 健一氏)
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2. シリーズ「森林認証制度のいま in 日本」 第2回 SGEC(前編)
世界のトレンドとなりつつある森林認証制度を日本国内において積極的に普及している各団体の制度と取り組みについてのシリーズ。今回は「緑の循環」認証会議事務局の河村精司氏から、日本独自の制度発足の背景や、その意義について説明いただきます。
(『緑の循環』認証会議事務局 河村精司 氏)
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3. シリーズ顔の見える山村 <宮崎県諸塚村〜森に生きる村・林業立村100年> 第2回
日本各地の取り組みを紹介するこのシリーズ、宮崎・諸塚編。今回は、諸塚村独特の自治公民館制度を中心に、現在の諸塚の礎(いしずえ)を築いた背景について紹介いただきます。
(宮崎県諸塚村企画課長補佐兼諸塚村産直住宅推進室長 矢房孝広 氏)
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4. 森林認証材を使った住宅造りへの取組み 〜菊池建設(株)編
創業以来、木造軸組建築一筋に取り組む菊池建設(株)が、国内初の「SGEC森林認証の家」を実現しました。同社の国産材へのこだわり、森林認証材との出会い、そしてその取り組みなどについて、営業部営業推進課の平田心一氏に紹介いただきます。
(菊池建設株式会社 営業部営業推進課 平田心一氏)
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1.ロシアの違法伐採対策会議、サンクトペテルブルグ閣僚宣言を採択
      〜秩序ある森林管理のため輸出国・輸入国政府は速やかに行動を!〜
国際環境NGO FoE Japan 森林プログラム 中澤 健一氏
11月22日〜25日にロシアのサンクトペテルブルグで開催された欧州・北アジアにおける違法伐採対策のためのENA FLEG(注1)閣僚会議がNGOらの意見を反映した閣僚宣言を採択して閉幕した。これは、旧ソビエト連邦諸国、とりわけロシアを中心に蔓延する違法伐採問題に対して輸出国、輸入国双方が取り組むことの決意を表明したものである。

注1 Europe and North Asia Forest Law Enforcement and Governance(欧州・北アジアにおける森林法の施行とガバナンス)。参加国はロシア、旧ソ連諸国、欧州諸国、中国、日本、米国など44カ国とEU
多方面に及ぶ違法伐採の影響
違法伐採は、東南アジア、アフリカ、南米など、比較的豊富な森林資源を有し、森林法の施行やガバナンスに混乱を有している国で蔓延しており、深刻な森林劣化の大きな要因となっている。ロシアでもソビエト崩壊後の政治・経済的混乱や、度重なる森林法や森林管理体制の変更とともに、激増した中国からの木材需要によって、森林管理行政は機能しなくなっている。

違法伐採による影響は、森林生態系の破壊や森林火災の増加など環境面だけではなく、法施行機関の汚職腐敗、犯罪組織の資金源、税収の損失、木材価格の低下など社会・経済的な影響も大きく、持続可能な開発を阻害する要因となっている。世界銀行によると違法伐採による生産国の経済損失は100〜150億ドルに達するという。

また、生産国における混乱のみならず、必要な森林管理や払うべき税金を逃れるなど、極めて"低コスト"で生産されているため、グローバル化した木材市場においても不当な競争力を持ってしまう。木材価格が下落すれば、持続可能な森林経営へ向けて努力をする森林経営者の意欲を失わせることにもなる。
これまでの国際的合意と枠組み
このような理由から、近年、国際政治の場でも重要課題として取り上げられ、持続可能な開発に関する世界首脳会議(2002年ヨハネスブルグ)やG8先進国首脳会議(1998年バーミンガム、2000年沖縄、2003年エビアン、2005年グレンイーグルズ)などの政治プロセスにおいて、違法伐採問題に対して生産国と需要国双方が協力して取り組むことの重要性が確認されている。

同時に、地域ごとに関係する国々が集まって具体的な取り組みを目指すプロセスも始まり、東南アジアの違法伐採問題に対しては2001年に「東アジアFLEG閣僚会議」が、アフリカの違法伐採問題に対しては2003年に「アフリカFLEG閣僚会議」が開かれ、それぞれ閣僚宣言と行動計画が採択された。これを受けて一部の国では、違法伐採の取り締まり強化、合法性証明システムや木材追跡システムの開発、税関協力などの対策が実施されつつある。
ロシアと私たち日本人の木材利用
しかしながら、ロシアの違法伐採に関しては、これまでロシア政府が問題を認識しようとしなかったことから、国際社会の協力もなく、有効な対策が行われないまま放置されてきた。日本にとってもロシア材は最大の原木供給源であるとともに、違法伐採が深刻な生産国の中で最大の輸入相手にもなっているが、木材業界、建築業界、消費者に至るまでそのような認識はほとんどされていない。事実、国土交通省の外郭団体である(財)建築環境・省エネルギー機構が進めている建築物の環境性能評価制度「CASBEE」においても、「針葉樹は持続可能である」という極めて単純化した判断をしており、アカマツやカラマツなどのロシア材も対象として含めている。

ロシアは世界最大の森林面積を有する国である。シベリアに広がる広大な針葉樹林はタイガと呼ばれており、多くの日本人は未開の原生林が広がっているというイメージをもっていることだろう。しかしながら、シベリアや極東ロシアでは、木材生産に占める違法伐採の割合が2〜5割にも上るとWWFロシアは報告している。また、問題は違法伐採だけではなく、行政による森林管理自体が機能していないなかで、中国や日本による巨大な需要がインセンティブ(注2)となって合法・非合法に関わらず粗放的な木材生産が行われていることである。

注2 極東経済研究所によるとシベリアの木材生産の8〜9割は輸出向けである

「ロシアの木材生産は年間成長量や許容伐採量を下回っているから持続可能である」という考え方があるが、これは間違いである。森林は伐採された後も天然更新するからということで林地のままとしてカウントされており、統計上は森林面積の減少として現れてこない。伐採後はシラカバやヤマナラシが伸びるため、蓄積量も減ることがないのだ。

もはやシベリア南部の良質な針葉樹原生林はほとんど伐採されてしまった。現在伐採フロントは北部化・奥地化をしており、残された原生林に伐採が集中している。また伐採と関連した人為による火災も頻発し、温暖化による病害虫被害も拡大するなど、シベリア・タイガは著しく劣化している。極めて多くの森林が若い雑木林や草むらになってしまっているのだ。

私たち日本人は、このような森林から伐採された樹齢数百年の貴重な木材を、小さく割ったりベニヤ板にしたりして、極めて安価な木材として使っているのである。
ENA FLEGの成果として
今回のENA FLEG閣僚会議は、このような状況を好転させるための大きな第一歩である。11月25日に合意された閣僚宣言では、

・輸出国、輸入国の双方が違法伐採と関連する貿易を排除するために行動を取る責任を有すること
・各国が明確な目標と期限を有する具体的行動計画を形成・実施・モニタリングすること
・地域住民や森林管理者、NGO、業界等のステークホルダーを法制度や政策の形成過程および実施過程に参加させ、汚職・腐敗の削減や公正・平等な制度を実現すること
・森林・林産業・木材貿易に関する情報を公開し透明性確保に努めることトレーサビリティシステムや森林認証制度による合法性・原産地の確認 を推進し、合法性が確認された木材貿易を推進すること
・ENA FLEG国際運営委員会を継続し、2〜3年以内に進捗状況を確認する会議、5年後には閣僚会合を召集すること

などが約束され、各国政府が市民社会や産業界とも共同して取り組むことが確認された。これらは会議に参加したNGO・産業界ともに強く求めてきたものである。

今後、輸出国・輸入国双方の政府は、速やかに閣僚宣言の実施に向けて行動を始めるともに、実施に際してはステークホルダーの十分な参加を確保しなければならない。なかでも当地域最大の輸出国であるロシアと、最大の輸入国である中国、日本は、当地域の森林劣化に大きな責務を有する。
今後の日本政府の課題
日本政府は今年7月のG8グレンイーグルズ・サミットにおいて、貴重な森林資源を保護し、深刻化する地球温暖化対策の有効な方策の一つとして「日本政府の気候変動イニシアティブ」を発表、この中で「違法に伐採された木材は使用しない」という基本的考え方に基づき、政府調達の対象を合法性、持続可能性が証明された木材とする措置を導入する旨を約束、すでに木材調達方針を実施しているイギリス、デンマーク、オランダ、フランス、ドイツなど欧州各国と足並みをそろえてこの問題に取り組む姿勢を明らかにした。

ENA FLEG会議においても、日本政府の代表として出席した黒木・林野庁次長が最終日のステートメントの中で、「違法伐採は木材生産国と消費国双方を含む国際社会全体が取り組むことが重要」とし、「我が国は政府調達の対象を合法性・持続可能性がある木材とする措置を導入する」など、「主体的かつ積極的に取り組む」ことを改めて国際社会に約束した。

現在、日本政府は4月からの政府調達措置の導入を目指して、合法材調達のガイドラインを作成しているところである。単なるペーパーワークにすることの無いよう、十分に実効性のある中身にしなければならない。さらに日本としては、調達措置のみならず、木材貿易措置や生産国支援も含めた包括的な対策戦略を作成して、ロシアの違法伐採問題に対処するべきである。また、ロシアから直接輸入される木材のみならず、中国で加工され製品として輸入されるロシア材も急激に増加していることから、3国が連携して取り組むことも必要である。
> 閣僚宣言の全文(英語・PDF)
http://siteresources.worldbank.org/INTFORESTS/Resources/MDILA_final_25_Nov_05_eng.pdf
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2.シリーズ「森林認証制度のいま in 日本」 第2回 SGEC(前編)
『緑の循環』認証会議事務局 河村精司 氏
はじめに
現在、世界の森林認証システムはどの位あるのでしょうか。昨年発行されたドイツ連邦政府の報告書によれば、50を超えると記載されています。森林認証システムにも、その認証対象区域としてグローバルに数カ国を包含する区域を対象とするものや、一国を対象にするものなど多種にわたっています。

また「持続可能な森林経営」に関するモントリオールやヘルシンキプロセスと呼ばれる国際プロセスに基づき、より高度な環境経営の達成に向けた「継続的な改善」に努める内容を包含するISO環境マネジメントシステム(ISO14001森林経営ISO/TR14061)による認証制度もあります。

そこで本稿では、なぜ「日本にふさわしい森林認証制度」として『緑の循環』認証会議を設立したのか、また世界に多くの森林認証システムがあるなか、国際認証諸制度との連携・協力についてSGECはどう取り組もうとしているのかを中心に述べます。
『緑の循環』認証会議SGECの誕生
SGECロゴ 多様な森林認証制度がある中、日本にふさわしい森林認証制度として2003年6月3日『緑の循環』認証会議(Sustainable Green Ecosystem Council, SGEC)が、森林・林業、木材産業、住宅産業などの業界に加え、環境NGO、市民団体、経済界、そして学識者など、各界各層70余団体の幅広い賛同を得て誕生しました(注1)

注1:名誉会長には木村尚三郎氏(国土緑化推進機構理事長)、会長には秋山智英氏(日本林業協会会長)が就任
図1 SGECのロゴ
「我が国にふさわしい森林認証」の意義と必要性
海外では、持続可能な森林管理のあり方が市民運動としていち早く広まり、環境保護活動とともに森林認証制度という形で定着して、世界的な潮流となってきました。

森林認証制度は木材輸出国側が考えることで輸入国である日本には不要であるとか、あるいは長年定着してきた森林施業計画制度があるから必要ないなどの理由から、日本での取り組みは十分ではありませんでした。

しかし仮に将来とも、国際的に通用する自国の森林認証制度を持ち合わすことがなかったならば、我が国の立場はどのようになるのかとの疑念が多方面から提起されました。その際議論されたSGECの意義と必要性について下記にまとめました。

1.我が国は何らかの方法によって森林管理のレベルを高める工夫が必要。同時に、私たちの森林管理レベルそのものを市民に対してはもとより、国際的にも正確に伝える工夫も必要。日本の森林管理状況を公正に海外の人々に理解し認識してもらうためには、我が国にふさわしく、かつ国際性ある森林認証制度を備えるべきではないか。

2.日本の森林構造や管理状況は、諸外国と比べて内容も扱い方も異なる。それぞれの国や地域で森林の形態そのものが異なっている状況で、統一的な国際原則による森林管理政策の判定に委ねることで、全て問題なくすむと言えるのか。

3.生物多様性や水管理の課題は国際的な見地の一つではあるが、地域的、あるいは流域単位で考えるべき事象であることが多いはず。地域特性を活かした森林管理のもとで水や生物の関係を論じてこそ本来の森林認証の意味があるのではないか。

4.2002年のヨハネスブルグ・サミットにおいて、違法伐採問題には森林認証が有効的に活用されるべき事が採択されている。日本は国際会議等の場で違法伐採問題を訴えているが、国際的に通用する森林管理基準や認証制度を有しないままで、今後とも違法伐採について他国に胸を張って言えるのか。

5.いずれ海外より様々な認証マークが付された木材が多く入ってくる。その時、日本の業界は輸入認証材が適格かどうか、自分自身で判定できる認証基準と判断能力くらい持ち合わせておく必要がある。

6.仮に国内林業界にとって認証システム不在状能が続いた場合、一般消費者は国産材をどのように見るのだろうか。国産材の自然環境への対策は外材より劣っているのではないかと、看做されるおそれもある。自らの認証システムを持つことは、国産材流通分野の体質改善にもなり得る機会をもたらすはずだ。

7.今後、多種多様な海外の認証制度の国内における普及を想定すると、森林施業計画制度の役割は何だったのか、ということにもなりかねない。そのためにも、国際性を保持しつつ、森林施業計画制度とよく連携した相互に補完できる認証制度であることが重要。

8.現在、先進国はもとより、途上国においても森林認証は進みつつある。国際性が問われる時代に、日本林業はまたも取り残されようとしている。世界との協調関係を前提に、あらかじめ国際的に対峙できる基準を整え、海外はもとより国内の市民一般にもその認識と理解を求めることが必要。国際的な環境保全のルールを守る一方で、我が国自身が守るべき、あるいは維持すべき事柄の判断力と対応力を備えるべきである。

加えて、SGECの誕生はクライアントでありユーザーの立場となる森林所有者にとって、森林認証制度というものを複数比較検討できる機会ができるメリットがありました。また、上記は日本の森林・林業・国産材の体質改善への処方箋も兼ねていました。

これらを視野に入れ、『緑の循環』認証会議は設立されました。発足に至るまでの一連の策定作業にあたっては、広く環境NGOや市民団体を始め、業界内外の多くの利害関係者の方々の意見を参考にし、今までにない幅広い人々の叡智と努力によって誕生したのでした。

林業が育てる山の緑、緑の資源たる林産物、それらが地域の市民消費者層に有効に利用され、山村と都市を結ぶ地域社会が活き返る仕組みを育て、そのような循環システムを社会に発信し実現しようとの想いが込められ"緑の循環"と名付けられました。

次回は、SGECの認証基準や他の制度との連携・協力などについて触れていきます。

※本稿は全国林業改良普及協会発行「 『緑の循環』認証会議(SGEC)による森林認証と林業・木材産業, 林業改良普及双書N0.146」を中心に著者の承諾を得て加筆・転載したものです。
> 『緑の循環』認証会議 http://www.sgec-eco.org
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3.シリーズ顔の見える山村 <宮崎県諸塚村〜森に生きる村・林業立村100年> 第2回
宮崎県諸塚村企画課長補佐 兼諸塚村産直住宅推進室長 矢房孝広 氏
人づくりがむらづくり 〜成人式の発祥と自治公民館制度
戦前の日本はどこの集落でも青年会などの自治組織があり、地域社会を支え、それを担う人材を輩出していた。諸塚村も昔から社会教育が盛んな村で、山間に点在する各集落が、それぞれ自学自習の活動を続け、同時に産業文化活動も行う地域振興の機能を持っており、その内容は高い評価を受けていた。

特に家代青年会は明治26年に設立され、大正期には社団法人化しているが、夜学による読書、講話、補習教育などを実施し、産業振興、若者の風紀改善など良き集落づくりに大きな貢献をした。村内各集落の青年会は、それを模範としてつくられたとも言われる。

しかし第二次大戦後GHQ統治の下、戦前からの集落の自治組織は軍国主義下のものであるとしてすべて解体され、代わりに1946年に新文部省から「今後の社会教育は公民館活動によらなければならない」と通達された。これを機に全国でハードとしての公民館建設が始まり、諸塚村でも集落組織が解体され、同年11月には諸塚村公民館を整備し、文部省の方針どおり中央からの公民館活動を試みた。

しかし、山間に点在して集住する諸塚村では、中心部の大きな施設で行われる活動は内容や課題も違い、充分な意志の疎通もままならず、各集落への浸透は難しかった。一方集落では、青年会や民家に下宿する教員などを中心にした村おこしの熱意のある若者に押されるかたちで、協和会という民主団体が集落全員により結成され、自主的な活動を進め徐々に活動の実績を上げていた。

それに注目した村は、公民館組織と協和会を合体し、全集落に自治公民館を置き、集落の民主団体(壮年会、婦人会、青年団)を中心とした自治組織にするという、大きな方針転換を決断した。当初文部省は、戦前の組織の復活としてこの制度を却下したが、村はそれでもあきらめず、組織体制を一部見直すことで再度申し入れ、GHQにも直接交渉した結果ついに許可され、1948年12月に画期的な諸塚方式自治公民館制度が発足した。ちなみに「自治公民館」というと行政の作った建物と考える人が多いと思うが諸塚では地域を意味し、子供たちも含め皆集落の自治組織のことをそう呼ぶ。

その自治公民館活動を支えるために、地域と行政が連携して1950年までには村内全域に公民館施設を完成させた。さらに村中央公民館組織がネットワークを束ねた連絡協議会として各集落での自主的な活動を束ね、総合的な社会教育活動を進めた結果、生活改善、産業の振興、保健・体育などおいて着々と実績を上げ、1951年には全国表彰を受けた。

また、諸塚村では1947年4月に成人祭を実施している。村の将来を担う若者にその自覚を促そうと、地域自治の実践の中で発案されたもので、当時の藤井長次郎村長がこれを採用したものである。男性満20歳、女性満18歳の青年を対象に合宿形式で10日間の講演や研修を行い、最後に修了証書を授与していた。国が成人の日を制定したのはそれから2年後であり、いわばその全国的な先駆けの一つとなった。現在では”荒れる成人式”が若者の風紀の乱れの象徴として言われるが、その発祥は決してお祝いではなく、自らが求めた社会人としての自覚を促す研修の場であったことを忘れてはならない。
人づくりから産業振興へ
人づくりを軌道に乗せた村が次に着手したのは産業振興であった。もともと耕地に恵まれない険しい山々に囲まれた村であるため、収益が期待できる産業は少なかった。1957年、当時の古本十三郎村長は、木材、椎茸、茶、牛の各産業を重点整備する、いわゆる四大基幹産業施策を打ち出した。

これは個々の農林家が、家族労働だけで可能な規模で4つの品目を相互に関連付けながら複合経営を進めるものである。限られた労力を年間通じて集約的にしかもバランス良く振り分けることができ、かつ複数品目を扱うことで市況変動リスクを最小限にとどめられる。また公民館組織と連携し、村全体でこれに取り組みむことで、流通対策上必要な量の確保も可能にした画期的な施策であった。
諸塚産FSC材
図2 基幹産業の一つである和牛生産

大分県の有名な一村一品運動は、流通の合理化のために産地に単品種大量生産の大規模農林家への変革を求めた施策であったが、諸塚村のそれは根本的に異なり、地域の実情に合わせ生産の合理化をはかるため、多品種少量生産の家族労働型林産複合経営の自立した小さな農林業家を志向するものである。

この林産複合経営施策も含め、前回述べたモザイク型複相林づくりや林地村外流出対策などの施策は、公民館組織があってこそ実現したものである。その地道な施策が徐々に実を結び、1980年には、家族労働だけでのシイタケ生産額10億円という奇跡的な数字を実現するなど、林業経営の成功例として脚光を浴び、昭和63年には諸塚村自治公民館連絡協議会が、農林水産祭村づくり部門において天皇杯を受賞した。後にも先にも自治公民館で天皇杯を持っているのは当地のみである。
森に生きる村の模索
モザイク林 林業立村宣言から100周年、林産複合経営開始から50周年という記念すべき年を2年後に控えた2005年9月、台風14号の直撃により山林や道路が被災し、中心部の商店街を含め多くの家屋が全壊および流出した。独立路線を選択した矢先のことで、危険と隣り合わせの山村社会の現状を思い知らされた。さらに農林業の状況の厳しさ、高齢化、後継者対策などの不安要因も重なり、これまで培ってきた山村の形態をそのまま残すことはかなり困難な状況である。

一方で台風被災に対し、多くの方から励ましの声やお便り、メール、そして義捐金をいただいたことは、その復旧の大きな力になっている。この人と人とのつながりは数少ない光明の一つである。そこに突破口はないのだろうか。
図3 FSC認証しいたけ

森林理想郷を謳う全村森林公園・諸塚村は、小さな山村だけでは実現できないが、まちと協力して、森を守り、地球を守ることで「人の心の豊かさ」の拠りどころとなる欠くことの出来ない「心のふるさと」としての存在意義を持つ村となることを模索している。

次回は、まちとむらの交流による村づくりの施策を通し、これから目指すべき自立の道への可能性を提示したい。
> 諸塚村HP http://www.vill.morotsuka.miyazaki.jp/
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4.森林認証材を使った住宅造りへの取組み 〜菊池建設(株)編
菊池建設株式会社 営業部営業推進課 平田心一氏
当社は1955年(昭和30年)宮大工棟梁でもあった創業者の故人菊池安治が建築請負業を始めたことに端を発し、以降50年間にわたり現在まで木造軸組建築一筋に歩んできました。

菊池安治は、その父親も棟梁であったため、幼い頃より大工仕事や木材に精通し、その長年の実績と経験から得た信念は「日本の住宅は日本の木を使い、伝統を受け継いできた軸組工法で建てるべきだ」。当社はこの信念を継承し、檜をはじめとする国産材を使った軸組工法による住宅建築にこだわり続けています。
SGEC認証構造材
図4 SGEC認証の構造材
日本の「木の文化」を見直そう
モザイク林 日本では、有史以来建築材料に木材を使用してきました。それは身近にある材料の中でも調達しやすく、人にとって利点の多いものに他ならないからです。長い年月をかけて木とつきあううちに、樹種を見分け、それぞれの性質の違いを知り、特徴を活かし、欠点を補う方法を見出してきたのです。西洋の建築文化が”石の文化”と称されるのに対し、日本の建築が”木の文化”と呼ばれる所以です。

現在、日本の住宅建築の工法や材料がこれほどまでに多彩を極めるようになった要因の1つには、先の大戦によって焦土と化した国土の復興に、国内の木材が欠乏し十分な供給を確保できなかったことがあります。また、早急に住宅需要を満たす必要があったこともあり、在来工法に対する建築基準法の制定も、合理的で簡便な方法によって一定品質の住宅を数多く造ることに重点を置いていたように思われます。
図5 「木の文化」、和室の風景

その一方で、在来工法によらない工業化住宅の普及にも国を挙げて支援したことが、世界的にも珍しい”住宅メーカー”の誕生と隆盛につながったといえるのではないでしょうか。工業化住宅を否定するものではありませんが、住宅は本来、地域ごとの特色を反映した地場産業により造られることが基本であるべきだと思います。

戦後60年を経過し住宅戸数が世帯数を越え、今後住宅の量よりも質が問われる時代となった今、輸入木材や鋼鉄資源を使った住宅造りを見直す時期ではないでしょうか。全国各地に十分な量の国産材が育っています。自然素材を活かした健康的な住宅を望む施主の声に応えるためにも、日本の気候風土に適した建築工法である軸組工法の住宅を、輸入木材に頼ることなく地域の木を使うことで再び”日本の住宅”の本流にしたいと思っています。

また毎年社会問題として取り上げられる”花粉症”も、手入れされることなく放置された人工林が原因とされています。こうした問題を解決するためにも伐期に達した国内森林に自給自足のサイクルを取り戻し、健全な日本の山林を創り上げるべき時期に来ているのです。

現在の林産物流通のしくみでは、残念ながら国産材は林業家に利益が還元されず、消費者にとっては価格の高いもののままです。需要側から日本の木を使う仕組みを考える、または需要に即した供給体制を考えていかなければ安価な外材に押された国産材の活用は進みません。日本の森林資源を有効活用するためにも、我々木造軸組建築業者が国産材を使った住宅の需要を、山の生産者と協力して広げていくべきだと考えています。
森林認証林材取組みのきっかけ
当社は、木材を住宅の材料に使用する立場にあり、木材市場動向など木材業界情報には、社長自らが各地を廻り製材関係者の声を直接収集することを職務としております。そうして一般市場には流通していない特色ある良材を独自の仕入れルートで確保し、手頃な価格で国産檜や杉をふんだんに使用した住宅を提供してきました。SGEC森林認証材の取り組みもそうした社長の活動の中で聞き及び、是非にと申し入れをして実現したものです。

森林認証材の供給については、製紙大手の日本製紙(株)と提携しております。日本製紙(株)では原材料の多くを海外から調達していますが「自然と調和する持続可能な企業活動」の実現を企業方針に掲げ、海外植林地の森林認証や環境ISOの取得に取り組んでおり、日本国内の社有林についても国内森林事情に即した日本独自の森林認証制度を利用する方針で、2003年12月に静岡県富士宮市北山社有林で『緑の循環』認証会議(SGEC)の国内第1号の森林認証を取得しています。

この日本製紙(株)北山社有林は、霊峰富士山麓の南西に位置する樹齢40年以上の杉・檜を中心とした針葉樹人工林が主な森林です。当社にとっては同じ静岡県内で素性の良い建築用材を調達できる森林であり、かつ森林認証を取得済みとの朗報は聞き逃せるものではありません。当社社長から率先して申し入れ、打合せの結果、2004年の年明けから共同して「SGEC森林認証の家」の開発に取り組むこととなりました。
認証の取得
SGEC認証は、日本の森林管理レベルを向上させ生産者から消費者へ「信頼と安心」を届ける制度として、持続可能な森林経営を認証する「森林認証システム」と、加工・流通過程を管理する「分別・表示システム」から構成されていますが、日本製紙(株)との「SGEC森林認証の家」共同開発が決まった段階で、当社は「分別・表示システム」の認証を取得する必要が出てきました。当社が「分別・表示システム」認定事業体となることで、山林から伐採・製材・加工・建築までの流通過程が一貫した管理で結ばれ、材料のトレーサビリティが実現し、建物引渡し時にSGECマークの付いた証明書を発行することが可能になります。 きづれパネル
図6 木材生産現場の様子

分別・表示システムの認証取得に向け、伐採された木材を流通させる工程ごとに「受入れ量」と「払出し量」の毎日の記録を徹底して義務付け、認証材に一般材が混入することがないよう管理しなければならず、この作業を認証材を扱う全ての業者・従業員に正しく理解させ、徹底できるかがカギでした。

各工程ごとに簡潔な「作業手順書」を作成して数量記録の帳票を新規作成し、従来の不定形な帳票類からの切り替えを徹底することに専念しました。ともすると、従来業務に新たな作業が加わり業務負担増になりかねないため、極力従来の業務を変えることなく帳票類の差し替えと記録保管の徹底に取り組みました。

こうした管理手法は「ISO9000S」と基本的に同じものです。当社は「ISO9000S」の取得には至っておりませんが、よく耳にする「ISOのために新たに決めた業務や記録作業が負担になりかえって作業効率が悪くなる」ことがないよう、無理なく継続していける作業手順書の取り決めを心掛けました。また、当社に限らず認証材を扱う伐採・搬出、製材、プレカット加工などの協力業者にとっても、こうした管理手法を初めて導入することとなるため、各工程の作業手順書を作成する前に現状をよく調査し、最小限の作業手間で稼動する分別・表示システムにまとめました。

後編では、取得した認証制度の利点などについてお話しいたします。
> 菊池建設(株) http://www.kikuchi-kensetsu.co.jp/index.html
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