フェアウッドマガジン
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第14号
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フェアウッドマガジン 第14号 INDEX September 2005
1. シリーズ「森林認証制度のいま in 日本」 第1回 PEFC(後編)
世界のトレンドとなりつつある森林認証制度を日本国内において積極的に普及している各団体の制度と取り組みについてシリーズ。 前回に引き続き、NPO法人PEFCアジア・プロモーションズ事務局長の武内晴義氏からPEFCの課題と今後の展望について説明いただきます。
(NPO法人 PEFC アジア・プロモーションズ 事務局長 武内晴義 氏)
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2. シリーズ顔の見える山村 <宮崎県諸塚村〜森に生きる村・林業立村100年> 第1回
長く続く国内林業不振を打破するべく、独自に道を切り開いている日本各地の取り組みを紹介するこのシリーズ。 今回は明治期に村是として林業立村を宣言した宮崎県諸塚村について矢房氏に紹介いただきます。(宮崎県諸塚村企画課長補佐兼諸塚村産直住宅推進室長 矢房孝広 氏)
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3. 「節」と「割れ」
〜木材品質に対する住宅購入者の誤解と国産材を高くしている隠れた要因!
海を渡ってくる輸入木材よりも、近くの山で生産された国産材のほうが高い現状。この要因には諸説あるものの、 木材の最終消費者である施主の視点からその要因について、国際環境NGO FoE Japanの岡崎時春氏に考察していただきます。
(国際環境NGO FoE Japan 代表理事 岡崎時春 氏)
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4. 日本の家は日本の木で! 〜住宅メーカーの取り組み 住友林業(株)編
国内で消費される木材のうち約40%は建築・土木分野で消費されています。したがって、国内森林環境改善に寄与する国産材利用推進において住宅メーカーの果たす役割は少なくありません。 そこで「木への強いこだわり」を前面に打ち出している大手住宅メーカーの一つ、住友林業(株)住宅本部生産資材部長の波多健二氏に同社の国産材への取り組みについて聞きました。
(フェアウッド・キャンペーン事務局)
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1.シリーズ「森林認証制度のいま in 日本」 第1回 PEFC(後編)
NPO法人 PEFC アジア・プロモーションズ 事務局長 武内晴義 氏
前編からの続き
課題
日本においては、後発の森林認証ブランドであり構造的に資金やプロモーション機能に制約があるPEFC森林認証プラグラムには、克服しなければならない課題がある。
1.森林認証
ボトムアップ方式を採用するPEFCでは、各国がまずその国独自の森林認証規格を策定すること、そして、その規格を管理運営する組織(あくまでも規格の策定、運営であり、認証ではないので要注意)がPEFC認証管理団体として認められ、PEFCのロゴ使用権の管理を担当することが前提となる。

それ故、これに該当する組織がない国(例えば、日本)の森林はPEFCの認証を得ることは事実上不可能である。これを解決するには、地元の森林所有者、木材業者、商社、環境団体、消費者団体などのいわゆるステークホルダーがPEFCの森林認証を理解、賛同し、これを求める声を高めることが最も効果的であると思われる。
菓子パッケージ
図1 菓菓子のパッケージにもPEFCのロゴが
生産物認証(CoC)にはこうした制限がなく、PEFCのロゴが付いた原材料や商品を購入する企業が日本のPEFC認証機関からの審査を受けて、 PEFCの生産物認証を取得すれば、関連商品にPEFCのロゴを付けて販売をすることができる。 実際に、こうした例は多く発生しており、国内でPEFCのCoC認証を希望し、グリーン購入の拡大を図る企業は急増している。
2.ステレオタイプ観
この一年程、PEFC森林認証プログラムのプロモーションに努力を傾けてきた経験から見るに、 現在の日本の市場の一部には、ややもするとPEFCに対する先入観があるように見受けられる。これは現実に日本で解説をしたり、商品を見たりする機会が少ないままに、 PEFCとはアプローチ法を全く異にする他の森林認証制度が先行する状況の中で、とかく情報不足に起因する誤解や不十分な理解が蔓延した結果と思われる。 「PEFCは産業寄りだ」とか「PEFCは取得しやすいのでレベルが低い」などというコメントがいささか否定的な含みをもってなされたことがある。

まず、これらのコメントが否定的な含みで言われることに疑問を禁じえない。前述にもあるが、PEFCは林業関係者などステークホルダーが自主的に、 第三者である政府間プロセスの概念や既存の国際認証制度の仕組みなどを取り入れて「環境と産業の共存」を目指して発足した認証制度である。 「産業寄り」とは「環境と産業の共存」を意味しているのならば、どうしてそれが否定的に問われるのか。

「取得しやすい」と言うことが、何故「レベル」が低いことになるのか。取得しやすいことは林業施業の実態をよく理解し、 持続可能な管理と現実の施業との乖離が少ない形の認証であるということではないか。逆に、産業を阻害するような現実を軽視した基準にどんな意味があるか、 と考えざるを得ない。あくまでも、環境を守り、かつ、産業も栄えることに意義があるのではないか。

この問題の解決は、やはり、PEFCの理念、仕組み、方法論などを少しでも広く多くの人に知ってもらい、誤解、理解不足を解消していくことにあろう。
3.プロモーション活動の拡充
上述のようにプロモーション、PR、マーケティングはPEFC全体の課題である。ここ1〜2年のうちで、PEFC参加国、相互承認国がヨーロッパ以外の地域に急速に拡大するに従い、PEFC全体の関心もアメリカ、アジアなどの市場に向いてきた。 そして、そういう地域では先行する他の認証制度の認知度が高く、PEFCが知られていない現状を改めて確認した。

今年は、PEFC全体のテーマとして、プロモーション、コミュニケーションの必要性の確認、その技術的拡充、方法論の改善、資金的サポートの確保などが大いに議論される予定である。
今後の展望
PEFCロゴ 政府や民間企業が共に進めるグリーン購入の動きはますます活発になり、これに応える形で消費者による環境に優しい商品購入の認識や要求も一段と増大すると思われる。 日本における森林のPEFC認証においては、暫く現状が余儀なくされると思われるが、輸入原材料を使用した国内製品や完成輸入品のCoC認証は急増する一方である。

日本に対する林産品の原材料の主要な供給先であるカナダ、フィンランド、チリ、オーストラリア、スェーデン、ドイツなどからは既に多くのPEFCロゴつき商品は輸入されており、加えて、アメリカ、ブラジルなどは近々PEFCとの相互承認が完了する。
図2 大阪港に入荷したPEFC認証輸入木材
さらには、マレーシア、ロシアなどもすでにPEFCのメンバーである。中国もPEFCに関心を寄せている旨伝え聞く。また、アジアやアフリカの森林の管理についてもITTOやATOなどとPEFCとの連携はすすんでいる。国内では、私どもPEFCアジアプロモーションズの活動と、現実のPEFCロゴつき商品の世界からの流入、流通が相まって、PEFCの認知度は急速に高まると予測されるし、また、期待もしている。ぜひ、大勢の方に私どもの活動に賛同していただき、ご参加、ご支援をしていただいて、PEFCの理念、ロゴを一緒に盛り上げていただきたい。
最後に
世界の環境を守る目的のために活動を積極的に推進している方々はしばしば特定の国や地域についての状態を訴え、それへの対処を呼びかける例が多い。蛇足ながら、その呼びかけの際に用いる現地のデータや事情が本当に真実であるかどうかを常に確認する努力がなされるべきであることを再確認していただきたいと思う。

環境に関する各種の主張がまま政治的な思惑に利用されて複雑怪奇になっていることが現実に起きている現在、発信する情報の正確性を確認することが、そうした指摘を受けた世界の現地の人にとっても、そこから生産される商品を購入しようとする日本の消費者にとっても公正であると思うからである。
> PEFCサイト http://www.pefc.org/internet/html/index.htm
> NPO法人 PEFC アジアプロモーションズ http://www.pefcasia.org/index.html
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2.シリーズ顔の見える山村<宮崎県諸塚村〜森に生きる村・林業立村100年> 第1回
宮崎県諸塚村企画課長補佐 兼諸塚村産直住宅推進室長 矢房孝広 氏
● 環境型林業の必然〜環境と共生した村ぐるみの森づくり
プロローグ 森づくりは地球を守ること
日本の木材自給率は20%しかないことは周知の事実となっているが、日本の人工林が1千万haもあり、世界の人工林の6%を占めることはあまり知られていない。

北海道と四国をあわせた面積に匹敵するその森林のほとんどが、戦後復興用の木材を安定供給するために昭和30年代に全国で行われた拡大造林政策で生まれたものである。燃料革命で薪や木炭などが使われなくなった里山や焼き畑などの広葉樹林を中心に、次々とスギ、ヒノキに植え替えられていった。世界有数の木材輸入国・日本は、一方で計画的に整備された世界有数の木材資源の豊富な国なのである。

この豊かな木材資源の眠る森林は、貴重な生態系の宝庫でもあり、水質保全、水源確保にも重要な役割を担っている。しかし、近年の林業不振から管理不足で荒廃する森林が増え、環境悪化が顕著となると、 山を守れなくなったという構造的な問題を捨象して、台風災害、水不足などのたびに表面的な原因として人工林批判が取り沙汰されることには心が痛む。里山に象徴されるように、日本人は昔から森を守り、森の恵みを生かしてきた民族であり、針葉樹の山でも適正に管理すれば環境保全機能を維持できることを知ってほしい。

また、今年発効した京都議定書によって、日本は大幅なCO2排出削減が義務付けられたが、その多くを森林経営による吸収量に期待している。木材はCO2を大量に吸収し長期間ストックできる他に例を見ない素材であり、しかも植林し育てれば再生可能な資源である。 森から生まれた木材を活用しながら、森林を適正に管理することで、持続可能な社会をつくることができることになる。
しかし、日本のみならず世界で使われている木材には、環境に配慮せず違法に伐採されたものも含まれ、CO2削減どころか環境破壊の一因となっている。 7月のG8サミットでも環境に悪影響をもたらす木材の違法伐採対策が合意された。したがって木材利用大国・日本においても環境に優しい森林からの木材の普及が緊急課題となっている。

諸塚産FSC材
図3 FSCラベルの諸塚産材
山側にとっては、森林を適正に管理し、その内容をユーザーに明示する努力が必要になるが、その森林管理の質と持続性を第三者が評価し、認証するのが森林認証制度である。 宮崎県諸塚村は、昨秋に国際認証であるFSC森林認証を取得している。村と森林組合および林業作業の第三セクター・(財)ウッドピア諸塚、そして一般林業家も含めたグループ認証で、村ぐるみで認証を取得した日本で初めての例である。

針広混交の豊かな森を生み、環境保全に配慮した明治期以来の村民による森づくりが世界的に評価されたもので、諸塚の森から生まれた森林資源は、地球環境に優しいことが証明されたと言える。 このシリーズでは、諸塚村の日本でも例のない村ぐるみの森づくり100年の取り組みを全3回の予定で紹介していく。
諸塚のこと
モザイク林 私の故郷の村、諸塚村は、95%山林が占める森深き山村である。九州山脈の奥深く、天孫降臨伝説の地・旧高千穂郷の一角にあり、急峻な山間の僅かな平地に点在する88の集落に人口2,200人、780世帯が暮らす。

明治22年の町村制施行と同時に諸塚村が生まれているが、明治40年(1907年)の村是で「林業を本位とする」林業立村を宣言している。村是とは明治中期に全国各地の村で定められた村づくりの方針書で、今でいう総合長期計画である。
図4 諸塚村のモザイク林
もともと決して経済的に豊かな村ではなかったが、森林資源は豊かで、それをいかに活かすかを考えて策定され、山と共生する村づくり=林業立村に取り組む100年の歴史の指標となったものである。その象徴が諸塚全体に広がるモザイク林である。スギ、ヒノキの針葉樹とクヌギ、ナラの広葉樹およびカシ、シイ、ツバキの照葉樹林の針広混交林で、この日本でも珍しいパッチワークの林相をある林政学者がそう呼んだものである。

もともと諸塚を含めた九州や四国の山村は、照葉樹林を定期的に伐採しながら再生させていく炭焼きと焼き畑が林業の主流であったが、前述した戦後の拡大造林政策によってほとんどの山林が、そのままスギ、ヒノキの針葉樹の山に更新された。

しかし諸塚では、数十年に一度収穫する針葉樹だけに森林資源を頼るのではなく、森林資源のもう一つの柱であるシイタケの原木を確保するため、針葉樹の一斉林をつくらず、造林地の30%に広葉樹を混植した。その努力が、その後の家族労働による複合型林業経営の基礎となった。森と共生しながらその資源を活用しようという思想が、結果として豊かな森の恵を生むことになり、水質保全と生態系にやさしい、環境共生の美しい森が、今の諸塚を包んでいる。

また全国の多くの林産地では、地域外に住む大規模所有林家が混在している。昭和30年代の高度経済成長期には、木材価格が好調だったこともあって、全国の山林の多くが投機の対象として地域外に住む資本家に流出したことも一つの要因になっている。

しかし諸塚村の場合、ほとんどが村内林家の所有林であり、面積20〜30haの家族労働的な中規模林家が中心になっている。昭和35年に「土地村外移動防止対策要綱」を制定して村民が一致協力して”山が荒れる”可能性のある村外への山林流出を止めたことによるところが大きい。最近問題になっている大規模な伐採後の植林放棄地の全国的な拡大は、地域の実情を知らない在外山主の所有林である場合がほとんどであることからすると、先見の明があったと言えるだろう。21世紀の今日、厳しい林業情勢の中でも「山なくして諸塚なし」と言われるほどの徹底した森林管理ができるのも、山と共生する生活に根ざした村民があってこそのことである。

それでは、何故これらの林業立村の施策が実現できたか。諸塚村の森づくりの成功や、村ぐるみの森林認証取得への理解と取り組み実現の鍵となった、人づくりとそれを支える自治公民館組織については、次回に紹介する。
> 諸塚村HP http://www.vill.morotsuka.miyazaki.jp/
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3. 「節」と「割れ」
       〜木材品質に対する住宅購入者の誤解と国産材を高くしている隠れた要因!
国際環境NGO FoE Japan 代表理事 岡崎 時春 氏
今夏、茨城県つくば市で木造2階建ての戸建て住宅を建て始めた。この経験から、健康によいムク(無垢)材や森林保護に繋がる国産材利用の促進の障害要因の一つに「節」と「割れ」に対する工務店を含めた施主側の勉強不足を強く感じた。 そこで、はじめに「節」と「割れ」についての現状の論点を整理し、長所と短所の両方について述べる。
節の多い国産材?
外国産材は、大径木から製材され、節無し木材のみ日本に輸入されている。残材である節有り部分はパルプなど他の用途に使用されるため、効率のよい木材利用と言える。国産材は小径木から製材される材が多く、節無し部材は比較的少なく、節有り部材が大半を占める。日本の製材所は規模が小さく、節有りの残材をパルプなどに回すシステムが経済的に確立できていない。

したがって床材用などの薄板に加工される場合は、死に節(注1)が乾燥と共に抜け穴になることが問題になる。各製材所では節有りも何とか活用すべく死に節は製材時に取り除かれて輪切りの枝材で穴埋め加工が施されているが、見た目が不自然といった声も少なくない。

注1 節の繊維が周囲の材と連結していない節のこと。対して繊維が連結しているものを生き節という。
「節有り」は機能上、問題あるか? ――構造材の場合
杉や桧など国産針葉樹については、節の大小・多少により、「柾目・無節」、「板目・無節」、「上小節」、「小節」、「特1等」と多い時は5段階に分類されている。

「節有り」の欠点は、桁・梁のような横架材において、大きな節の部分で曲がり強度を弱くするが、柱などの構造材においては、機能上ほとんど問題にならない。ただし、木材の乾燥度が均一でない場合に見られる木材特有の節近辺の曲がり・捩れ・反りが建築現場において敬遠されることがある。

この場合、プレカット工場で正確な加工が行われても、建築中に変化が起こるためプレカットのやり直しとなってしまう。もちろん工務店、大工により造作材を作り付ける過程での対応・矯正は可能だが、要する手間隙はコストと工期に反映してしまう。
「節有り」は品質上、問題あるか? ――内装材の場合
節有りを床に用いた場合、穴埋め補修が施されていない節部分は、年を経るとともに柔らかい繊維部分が欠けてなくなり、硬い繊維が縦向きに尖った状態になり、これにナイロンストッキングなどが引っ掛かるという苦情が聞かれる。ただし、内装でも人が直接触れない天井や腰板に用いる場合は問題にはならない。要は適材適所が重要である。

あとは好みの問題で、節有りはアクセントが強すぎるという人もいれば、逆に無垢の木材らしく、森の中に住んでいるのと同じアロマを貰って精神が休まる、という人もいる。
「節」の有無による価格差は?
外国産材については、もともと「小節」以上のグレードのものしか輸入されていないので、節の有無による価格差は少ない。ただし国産材については例外でなく、以下に例を示す。
1.構造材――角材の場合
日本伝統の木造軸組み工法においても、洋室は断熱性能を上げるため、外来のツーバイフォー工法と同じ大壁構造(図5)であるため構造材が表に見えることはない。 したがって殆ど「特1等」と呼ばれる節有り材が使われている。和室には在来の柱が表に見える真壁構造、すなわち柱が表に見える工法が取られるので、施主の好みにより節の有無は重要となる。
壁の構造
 図5 大壁構造と真壁構造について

和室に使われることの多い桧の柱(通し柱)について、プレカット工場から工務店へ渡す時点での価格を表1に示す。

表1 桧通し柱(120mm×120mm×6m)の1本あたりの価格
等級 価格(円)
特1等(化粧仕上げなし) 14,500
小節(2面化粧仕上げ) 25,800
上子節(2面化粧仕上げ) 34,100
2.内装材(床・壁・天井材)――板材の場合
桧・杉ともに、12mm厚の特1等は天井や腰板に、15mm厚の上小節・無節は床に使われることが多い。以下に価格例を示す(表2)。

表2 桧板材の坪あたりの価格
等級 価格(円)
12mm厚(90mm幅×3m長) 15mm厚(90mm幅×3m長)
特1等 13,000 14,500
上小節 20,000 24,500
無節 23,000 28,000

杉については、2段階程度のグレード分けが一般的である(表3)。

表3 杉板材の坪あたりの価格
等級 価格(円)
12mm厚(105mm幅×4m長) 15mm厚(120mm幅×4m長)
特1等 10,000 14,000
上小節 15,500 20,000
「割れ」はどうして起こる? ――背割り
原木は、その伐採時には100〜200%の水分を含んでいる。製材過程で乾燥されながら、建築時には20%前後まで落ちて、冷暖房など場所によってばらつきはあるものの、建築後1〜2年で10%前後まで下がる。「割れ」は、その乾燥の過程において、空気に触れている表面近くと、空気に触れてない内部との乾燥速度の差によって起こる。木材は乾燥により10〜20%収縮するため、丸太・柱・厚板などが表面と内部の収縮の差が生じ、縦方向の割れがおこるのである。

したがって、丸太・柱には割れを見込んで、「背割り」を人工的に施し、これを人目に付きにくい方向に向けて建前をする手法がある。背割りは、材の芯に向かって楔(くさび)状になっている。最初は10mm程度の割れ目が1年経つと、20mm位まで拡大する。割れ目を嫌う施主は、1年後に目立たないように埋木を施すこともできる。

湿度の高い日本では、国産原木の水分含有量が一般の外材より高く、乾燥に時間とコストがかかるという問題を抱えている。国産材の方が「割れ」が問題になる所以である。
「割れ」は機能・性能に問題を生ずるか? ――寸法精度の狂いは?
木材の繊維は縦方向に繋がっており、割れは大抵縦方向におこるため、木材の繊維を分断することはない。柱のような主として縦加重を支える部材についての割れの影響はほとんどない。

一方、梁・桁などの幅広・横架材については、もともと背割りがないので任意の場所に割れが出てしまう。使用場所によっては撓み(たわみ)応力に若干の影響もあるが、梁・桁はその断面積を決める際3〜4倍の安全係数が掛けられているため機能・性能には問題はない。

ただし前述した「節」による寸法精度の狂いと同様なことが「割れ」の場合にも当てはまり、しばしば現場にて敬遠されることもある。もちろん「割れ」による狂いについても、工期を十分取り、大工の技量によって修正することで対応可能である。

以上、「節」、「割れ」の一般的な論点について触れてみた。次回は、木材にとって重要な要素である「乾燥」の視点も加えて論じてみたい。
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4.日本の家は日本の木で! 〜住宅メーカーの取り組み 住友林業(株)編
フェアウッド・キャンペーン事務局
「Feel Wood. 〜木の家と、暮らそう。」のキャッチコピーで「木への強いこだわり」を前面に打ち出している住友林業(株)。同社環境報告書によると、「スーパー・サイプレス」と「きづれパネル」(注1)を商品化したことで同社の構造材における平均国産材利用率は7%から40%代まで向上した。

一般的に品質、コスト、流通・納期の面で国産材は外材にリードを奪われ、大手住宅メーカーでは着手しにくいと耳にする昨今。その不利をいかにして克服し国産材利用率を高めたのか、同社住宅本部生産資材部長の波多健二氏に聞いた。
きづれパネル
図6 きづれパネル
注1
スーパー・サイプレス:業界初の国産ヒノキを使用した集成材を商品化したもの。 住友林業の主力商品である「GODA One's Story」における構造用集成材として各住宅部材に採用。

きづれパネル(図6):国産スギ材などを主原料とする耐力外壁材。幅55mm×厚さ9mmの板を組み合わせて接着して作る。 製品は910mm×3000mm、重さ10kg(合板など通常のボード類であると20〜30kgになるため軽量)。釘を一切使用せず接着剤で貼り付け。 モルタルの下地、サイディングの下地としての使用が全体の80%。
クレーム対応のための集成材の導入?!
住友林業は住宅事業をはじめて30年。歴史を紐解けば同社の事始めは元禄4年(1691年)。歴史ある林業のプロということもあり、同社の顧客は比較的木へのこだわりが強い方が多い。 そうした顧客からのムク材への要望は、特に東海・近畿地域で根強いようで、現在でもヒノキのムク材(人工乾燥)で年間500〜600棟を手掛けている。

2002年に主力商品に標準採用された「スーパー・サイプレス」。この導入に至る道のりは決して容易なものではなかったと、波多さんは当時を振り返った。

住宅事業を始めた1970年代、当初は乾燥未指定のグリーン材を使用していた。部材別樹種は、柱は米ツガや国産ヒノキ、土台は国産ヒノキや米ツガ(防腐剤注入材)、そして梁は米マツであった。

グリーン材では乾燥過程における反り、曲がり、割れなど木材特有の変化への顧客からのクレームが絶えず、人工乾燥材への転換を図った。 ところが、人工乾燥材を生産できるところを探すものの、当時国内には乾燥設備がほとんど普及していなかったため、やむなく海外から乾燥材を輸入することになった。 折しも住宅着工数が右肩上がりで伸びていった頃である。

ただし人工乾燥材は安くない。そのコストに対処すべく「集成材導入」の声が挙がった。集成材は、国内でも和室など表面に付き板を張った柱(5層の貼り付け)として60年代から使用されていた。 当初、社内、特に営業サイドからの反対の声もあったが、展示場で集成材の柱や梁を見えるようにして顧客の反応は「強度がでるのであれば問題ない」というもので案ずるより産むが易しであった。

当初集成材に使用した樹種はロシアエゾマツ、米マツ、そしてカナダのロッジポールパイン。間もなく、柱に続き土台にも米ヒバの集成材が採用される。 勿論、住友林業は注文住宅を基本としていたため、木にこだわりのある顧客も多く、国産ヒノキのムク材も扱っていた。当時、社全体の約10%程度にあたる年間1,000棟くらいの需要があった。
国産材に対するトラウマ
ただ、波多さんには苦い経験もあった。集成材導入の一年前の1990年、「ヒノキの家」を売り込むキャンペーンを行った。ヒノキの柱と土台を期間中に限って破格の値段で提供した。 キャンペーンは予想を超える大盛況で、ヒノキ材の確保に東奔西走を強いられ、とにかく夢中で市中からヒノキを買い漁った。しかし住宅着工に伴う出荷ピーク時には、市場のヒノキ量が激減し、ヒノキの市価が暴騰してしまった。 1m3あたり平均10,000円だったものが高値で200,000円にまでになったという。

この経験が国産材に対するトラウマとなり、国産材を使いにくくなってしまった。しかし営業サイドからは国産ヒノキで集成材ができないかといった声がしばしば挙がっていた。 ムクであると15cm級の丸太を必要とするが、集成材であれば材直径の大小、長さ、曲がり、そして根元部分など、どんなものでも使える。そこで、その利点を活かし、国産ヒノキの集成材開発が始められた。
安定した仕入れルートの確立へ
仕入れルート構築においては素材業者、製材業者、山持ちなど、あらゆるソースを当った。 「”刺身のトロ”だけでなく、どんなものも使います」との語り口で、2mの短尺材などを集めたが、業者からは不思議がられる有様。当時、高級材であるヒノキの端材や曲がり材を調達することは、珍しいことだったようだ。

そうした苦労の甲斐あって、2002年2月に仕入れルートが確立された。使用部材は土台から始め、当時の使用量は月間1,000m3(一部米ヒバを含む)だった。 2003年2月からは柱にもヒノキ集成材を導入し、仕入れルートを拡大。現在、ヒノキ集成材の使用量は月間2,500m3程度、棟数では年間6,000棟である。

原料のヒノキ材は主に四国、九州、中国地方から調達する。2m材、端材、曲がり材など原木で集材し、提携の製材所において賃挽き、ラミナ製品化、 そして人工乾燥したものを、住友林業本社山林部の子会社である住林フォレストサービスがすべて買い取り、全国6箇所の集成材工場(注2)に送る。 現在、製材・集成材工場、プレカット工場、そして多くの工務店のネットワークを構築し、グループでの一元管理された材の調達、供給を実現している。

注2 岡山、愛媛、奈良2ヶ所、岐阜、そして秋田の計6工場。その半数は住林向け生産が中心とのこと。工場の生産規模は月間1,000〜1,500m3。

また過去の経験を生かし、国産ヒノキ材の仕入れ体制の調整にも余念がない。仕入れルートが確立した2002年より月1回、全国の関係者(住友林業住宅部門、集成材6工場、住友林業フォレストサービス)で、 材の供給・調達状況について情報交換し、調整を行っている。これは複数の調達ルートがあるものの、しばしば川上で同じ供給元にたどり着くケースがあるためである。

一方、住友林業は北海道、和歌山、四国、九州に40,497ha(人工林49%、天然林42%、その他9%で、国土の約1,000分の1にあたる)の社有林も有している。 しかし、ここから出材されるものは、各地元の原木問屋へ供給されるため、社有林を自社のみで使用することはしていないとのこと。この辺りに国内における木材調達の難しさの一端が垣間見られる。

勿論、ヒノキのみならず、スギも利用している。前述の「木づれパネル」だ。主材料のスギは主に宮崎、熊本から調達。製材時に出てくる側板やチップにされるような細丸太を使用。 全国8工場(注3)で月間60,000枚(1,600m3に相当)を生産している。一棟あたり80枚程度使用する。

注3 生産工場は宮崎、熊本、奈良、岐阜、埼玉2ヶ所、福島、そして山形の8工場
国産材調達の秘訣?!
冒頭でも触れたが、現在同社の平均国産材使用率は、構造材のみで約42%で、北海道のように地域を限定すればカラマツ使用が約70%と高いところもある。

国産材の使用比率を高められた秘訣について問うと「自社で原木調達以下、製材、プレカット工程を賄うことができたからであろう」との回答。つまり、流通コスト削減が大きな要因であったと解釈できる。

一方で「国産材使用率を高めることは社是として取り組んでいるものの、価格重視は不可避であり、現状ホワイトウッドに対抗できる価格を実現できるのはスギとカラマツである。 ヒノキについては『品質の良さ』を付加価値としてアピールしている」と、使用率のさらなる向上には難色を示した。

事実、同社の商品ラインナップで高グレード住宅にはヒノキ集成材が採用されているものの、並グレード以下の住宅では米ヒバ、ホワイトウッドの集成材が適用される。それだけ十分な国産材調達には困難が伴うということの現われでもあろう。

しかしながら、国内の木材自給率が20%以下である状況を考えれば、同社の構造材への平均国産材使用率約42%という数字は年間1万棟規模の大手住宅メーカーとしては高い数値と思われる。

いずれにしても、さらなる国産材利用促進を考えた時、大手住宅メーカーによる取り組みは、一般消費者への大きな影響力を持つため、今後も同社の積極的な取り組みに注目したい。
> 住友林業 http://www.sfc.co.jp/
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編 集 : 坂本 有希/三柴 淳一
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